シザンサス:あなたと一緒に
集まるのは、いつもボクの部屋。
だから、ボクは少し大きめのテーブルを買って、みんなで座りやすいように家具の配置を変えてみた。みんなで一緒に寝れるように、おっきいベッドも買った。
大体1番最初に来るのは、大野さん。
「いつもありがとね」って髪にキスを落としてから、すぐにエプロンをつけて手伝ってくれる。
遅れて、カズ。
カズは言えば手伝ってくれるけど、何か頼むたびに「ご褒美のチューは?」って言ってきてボクの手が止まるから、1回だけなんか手伝ってもらって、チューしてからは、ゲームさせとく。
あんまりしつこい時にはわざと大野さんに「これおねがい」して「ありがと、大野さん」ってチュッてする。
「ずりーよ、大野さん!」
「んふふ、役得役得」
「邪魔したら、また大野さんとチューしちゃうよ」って言えば静かに待っててくれる。
その次は相葉くん。
相葉くんはボクが玄関まで行かないと、「じゅ~ん。じゅんちゃ~ん。あいばくんきたよ~」ってずーっと玄関から動かない。
何でって聞いたら、「潤くんにただいまのチューするまでは、お客さんだから」だって。お客さんなのにおかしいね。
でも、前に1回放って置いたことがある。そしたら、みんなも揃って、料理も出来上がったのに入ってこない。見に行くと、玄関に大の字になってぶーっと膨れてた。
動きそうにない相葉くんに「おかえりなさい、相葉くん」って言ったらエプロンを引っ張られて、触れるだけじゃない激しいキスをされた。ほんとびっくりしたから、それ以来放置するの止めたんだ。
最後は翔さん。
ボク達の為に、いつも美味しいワインとか、焼酎とか、色んなお酒を用意してきてくれる。
必ず持って来てくれるのはボク用のちょっと小瓶の焼酎。
みんなで飲む焼酎と同じなんだけど、焼酎はモノによって全然香りが違うから、合せる料理に一番気を遣う。そんなボクの為のテイスティング用。
「はい、これね、今日の焼酎」
「ありがとう、翔くん」
翔くんには何でかわかんないけど、ボクの方からチューしての体勢になっちゃう。それが分かってるから翔くんはわざと、口唇じゃないとこにチュッて。ずるいんだ。
ボクはみんなにキスされる。ボクもみんなにキスをする。
ただのメンバー、仕事仲間じゃない。友達でもない。抱きしめたいし、抱きしめられたい。でも、恋人でもない。
求めれば与えられて、与えれば求められる。
この関係を言葉にすることなんてないよね、ただ、一緒にいたいだけ。一緒にいるだけ・・・。
そして、今日もまた、ベッドの上、みんなに抱きしめられて、ボクはそっと瞳を閉じた。
キミ・ハ・ムテキ・・・fin