骨董市から少し離れた広場で智くんが買って来てくれたココアを飲みながら、机の上に置かれたさっきのガラスの細工を見る。
翔くんは、モバイル?を操りながら「う~ん」と唸ったまま何にも言わない。
ぼくはなんだか居た堪れなくなって、和くんや智くんを見るのに、2人とも何も言わない。
「ねぇ・・・、なんか言ってよぉ」
ちょっとだけ泣きそうになって来て、下を向いて小さく呟くと、翔くんが、
「あ、ごめんね。雅紀はさ、なんでこれが気になったの?」
「解んない。呼ばれた気がして・・・」
「そっか」
「智くん、翔くん、僕には何にも聞こえないから、悪い物じゃないとしか解んないや」
じーっと品物を見ていた和くんが首を傾げながら言う。
「あ、あのね、これそこそこ価値のあるものだと思うんだよね。二束三文なんておかしいんだよ」
ぼくが慌てて言うと、分かってるよと言うように翔くんは笑う。
「そうだね、俺もそう思うよ。ただ、これがなんで雅紀を呼んだのかが気になってね。どうして、雅紀はこれを価値あるものだと一目で見破ったのかそのわけを考えていたんだ」
「翔くん・・・」
それまで黙っていた智くんが僕の頭を撫で安心してって言ってから口を開いた。
「雅紀は翔くんと同じで物の本質を見抜く力があるんだよ。だからこうやって価値のあるものを簡単に見出せる。翔くんのように悪い物を引き寄せはしないと思うよ・・・ある条件がそろわなければ・・・」
「条件?」
「うん・・・。でも、それが何なのかは、その場になって見ないと解んないや」
「そっか、でも、悪い物を引き寄せないんだったら良いね。後はもっと審美眼を磨かないとね。俺と一緒に行動しようか」
「翔くんと?」
「そう」
それが、ぼくのやるべきこと?ぼくがここに来た理由?
「ぼくが、生きる意味、それで解るのかな・・・」