着るということ | Saishoku==彩色==

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今を見つめたい 今日この頃


東京都現代美術館でやっている
ラグジュアリー:ファッションの欲望

昨年いったのですが
着ることについての変化を上手に見せる展示となっていました

権力、地位、立場を誇示するために装っていた時代
飾り立てることから、服としての機能、心地よさが優先されるようになり、
大衆化されてくる

豊かになると、モードの最たるものとなり、時代を先取り、
今を表す代名詞となる
「モードに固有の時間感覚を「いま」を際立たせる現在優先主義」
だと見抜いていたのはゲオルク・ジンメル(ドイツ人思想家)

ちぐはぐな身体―ファッションって何? (ちくま文庫)/鷲田 清一

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モードを追うようになると、モードとは違う時間軸をもつ
「今までにはない服」を提唱する人がでてくる
その代表がコムデギャルソン

美術館の説明より引用
「今までにない服」の制作に挑戦する作り手。そのような服に出会い、
作り手が込めた情熱を受け止めようと努力する着用者。両者の間に生まれる
〈着る〉ことをめぐる濃密な体験もまた、精神的なラグジュアリーであるといえるでしょう。

まさに、そうだと。
妹島さんが空間デザインをしたコムデギャルソンの展示空間は
とっても心地よく、身につけられる展示物、的な独自の雰囲気がよかった

そしてメゾン・マルタン・マルジェラのひとつだけの服
レコードを切って重ねた服
靴ひもの服
陶器をつなぎ合わせた服
ボタンでできた服
美術作品と洋服のはざまのとても微妙なバランスの上に成り立っていた
いや、その独創性たるや、圧巻


現代女性の着るということ、についての文章の中で、
ダントツの冴えをみせるのは斎藤薫さんだろう。
着ること、とそこにまつわる女性の心の動き、感情の機微を上手に、
そして鋭くあばいていく。

されど“服”で人生は変わる/齋藤 薫

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人生を、生きていく気分を上向かせるために不可欠な道具として自分のための服
自分を演出し、伝えるための社会的な服
母、妻といった役割をわきまえた服

ラグジュアリーの意味も時代とともに変化し、
金銭的な豪華さよりも、内面的な洗練が尊重されるようになったのが
今の時代の空気ではないだろうか。

モードを追うこともしかり
独自の道を追うこともしかり
選択肢が多い今、それしかなかったのではなく、
それを選んだ理由が、見えてしまうのではないだろうか