前回の話で思い出した
私は
虫が嫌いだった
小さい時は触って遊んでいたのに、大人になったらどんなに小さな虫でも怖い、キモイ、触りたくない、と大騒ぎするレベルだった
でも、友達もみんなそんな感じだったので、自分が異常だとは思っていなかった
上の子を産んだ後ももちろん克服していない
当時はまだ頻繁にババアと交流があった頃で、ある月一定例のお墓参りの日だった
大きなバッタがいたのだ
まだベビーカーに乗っていた上の子は2.3歳頃だっただろうか
特に虫が好きでも嫌いでもない
田舎育ちのババアはバッタを見るなり捕まえ、上の子に見せた
「ほうらーー♡上の子くん、バッタよぉ♡」
久々に間近で見るそれのぐちゃぐちゃとうごめく脚、脚、脚!ふっくらした腹!糸のように長く絡みつく触角!仮面ライダーみたいな目!丸々とデカくてキモくてたまらない真っ黒な目!!
その全てを網羅した恐怖のフォルムが自分の子供に近づいている
無垢に触ろうと手を伸ばす我が子に私はパニックだった
いやあああーーー!!!!キモイーーー!!!
まさに絶叫である
もともと虫が嫌いだと言っていた
ババアは知っているはず
だが、
ババアはそんな私を見て叱りつけたのだ
「お母さんがそんな事でどうするノヨ!!!」
「あのねえ?そんなにお母さんが怖がったら子供も怖がるじゃないノ!!」
すみません、、でも気持ち悪くって。。
「なにが気持ち悪いノ!お母さんなんだから虫くらいつかめないでどうするノヨ!!いい加減にしなサイッ!!」
それはそれは天下を取ったかのように言われたのだった
私は反省した
私のせいでこの子が虫嫌いになるかもしれない
どうしよう
は?
いや、今考えたらね?
お母さんになったからには完璧な人間にならなきゃだめなんですか?って事よ
嫌いなものがあったらだめなの?
お母さんになったら?
苦手は克服しろって?
いやいや、親も人間
そんな契約で親になった訳じゃないしww←
じゃあテメエはどこまで完璧なんだよ?
虫が触れるくらいでいい気になってんじゃねえよww
でも当時は弱々しく思考は沈むばかりだった
それから3年
幼稚園時代を過ごし、子供はすっかり虫が好きになった
不思議なもので
子供がカッコイイと言えば、マジだせえと思ってた戦隊ヒーローだって、ギャグでしかないと思っていたトーマスだって、そして、虫だって輝いて見えた
絶対買わないと思っていた戦隊ヒーローのレアTシャツがマジでヴィトンと同じくらい欲しかったくらいだから虫の価値観も当然変わる
親なんてそんなもの
我が子の願いは叶えたい
トンボが取れなくてしょんぼりした我が子を見て、
私もあの戦闘機のようなフォルムの透き通った凛々しい眼を持つ細長くスマートなあいつを手に入れたくて、必死で追いかけたものだ
捕まえては二人で宝物のように、す、すげえ!やったぜ!と言いながら、虫かごに入れてぶんぶん暴れるトンボを眺めた
カッコイイねぇ。。
私の虫嫌いはなくなった
しかし
そんな事を知らないババア
数年後
墓参りの近くで虫取りしようと言い出した上の子
え?今から?と嫌がる私に
「いいじゃないのッ!!」と怒鳴るババア
ババアも張り切り、早速蝶々を見つけては、帽子で悪戦苦闘しながら必死で捕まえ、上の子に見せた
私が怖がるように、とびっきり大きな蝶々だった
「ほうら!バァバこんなに大きいの捕まえちゃった」
ニヤニヤと醜い笑みを浮かべていた
私の嫌がる顔と悲鳴を期待していたのだろう
私は、わざとキラキラした笑顔で
すごいねぇーー大きいねぇーー!!カッコイイね!
と言ってやった
明らかに
「???」な顔
しかし
上の子のはしゃぐ様子にかき消された
そして最近
上の子は大きくなり、逆に虫が嫌いになってきたww
あんなに可愛いてんとう虫でも触るのを躊躇うくらいになってしまったのだ
前回の墓参りでは草むしりの最中にまる虫がいた
上の子はうわぁ!びっくりした!と大声を上げた
ババアはそれはそれは嬉しそうに意気揚々と
「なによぉ〜こんな小さな虫くらいで、やあだw♡」
と笑っていた
そして
「ねーーえ?ニモさん?」
とわざわざ私にふったのだ
私が虫を克服した事など忘れてるのだろう
私も虫が嫌いだと
大騒ぎするだろうと
そしたらまた説教してやろうと
振り向くとニタニタと醜い顔をしていたのだった
私はまる虫を掌に乗せ、
「ほんとに。。こんなに可愛いのにどうしてですかね?」
と言った
明らかにババアの顔が引きつったのを私は見逃さなかった
その証拠に一切その話題には触れず、返事はなかった
数秒悔しそうにギリギリとした後、何事もなかったかのように作業に戻った
どうせまた忘れてるだろうから、また言わないかなーと楽しみにしてしまう性格の悪い私である