ムッキムキのスポーツマン学生、咳を主訴に受診。聴診で片側の呼吸音が聞こえない。
ここでするべきことは?という問題。
①血液検査
②レントゲン検査
③気管支鏡検査
この中で正解は、、、
②レントゲン検査
でした!
片側の呼吸音が聞こえない場合、おそらく肺になにか起こっている、ということは分かるかと思います。
もちろん誤嚥で気管支が詰まっている、ということもありますが、いきなり気管支鏡検査することはありません。
血液検査は、しばらく時間が経ってからじゃないと炎症所見などの変化は現れません。
ということで、レントゲンを撮ったわけですが、その所見から、診断は、「気胸」でした。右肺が完全にしぼんでしまっていました。
気胸になりやすい人は、体型的な特徴があり、典型的には「やせ型の男性」なので、ムキムキ体型の子ではまずもってその鑑別診断が自動的に排除されがちです。ムッキムキスポーツマンがなったのにも多少びっくりしたし、片肺が完全にしぼんでしまっているにも関わらず、日常生活が数日間できていたこと=片肺だけであまり困らないくらいの肺活量がある、ということで、二重にびっくりした次第です。診察ではSpO2の低下もなく、呼吸数の変化もなかったのは、スポーツマンだからこそだったと思われます。
というわけで、固定観念にとらわれてはいけないな、と改めて思いました。
ちなみにこの子はその日のうちに呼吸器外科のある病院に転院となり、胸郭の空気を抜いて肺を膨らませるためのトロッカーという管を挿入され、2日でよくなりました。日頃から鍛えてるって素敵。