小児科学会誌のinury alertであった症例です。

サランラップ療法、聞かれたことはありますか?

正式な治療指針に書かれているものではありませんが、巷でたまに重症の湿疹に対して行われることがあります。

難治性の湿疹に対して、多くは現在ステロイドなどの外用薬が選択されますが、問題は、塗ったあと、どれくらい皮膚に残っているかということ。手湿疹なんかもそうですが、場所によってはすぐ取れてしまったりして、思ったような薬効が得られないことが多々あります。

例えば指のひび割れなんかも、特によく使う部位で起こることが多いですが、逆に塗ってもすぐ取れてしまうので、治りにくい。であれば、そこにとどまらせてなるべく浸透させればよい、ということで、ラップ療法が選択されることがあります。ステロイドなら貼り薬も以前ありましたが、最近もう流行らず処方できなくなりました。ラップ療法では、病変部位に外用薬を塗布したあと、ラップで被覆し、さらに包帯で巻くなどして固定して、例えば一晩なら一晩それで過ごします。

事故になったのは3か月の乳児。おそらくアトピー性皮膚炎の治療で、頭部にラップ療法をしていたようです。入浴後、母親が外用薬を全身に塗り、ラップで被覆。おそらく外用薬でべとべとにするとラップはある程度くっつくので、そのまま寝かせていたのではと思います。そして母親はそのまま上のきょうだいと30分程度入浴。途中泣き声は聞こえていたとのことでしたが、上がってきたら赤ちゃんの顔を覆うようにべとべとのラップがくっついており、呼吸停止していたということでした。3か月の乳児には、顔面に貼りついたラップを取り除くことは難しかったのだと思われます。

もちろん頭部はリスクが高いのは承知で、私はおそらくやりませんが、よく考えるとよくやる指でも同じです。また、もっと言えば、指につけた絆創膏などでも、指吸い癖のある子では同じようなことが起こる可能性があるので、改めて注意しなければいけないなーと思いました。

どこに危険が潜んでいるのかわからないので恐ろしいです。

赤ちゃんのご冥福と、ご家族の心が一日でも早く癒えることを祈るばかりです。

 

いつも夏になると売り切れ続出で買いそびれるラップタオル、今年こそほしかったので早めにGET☆

めっちゃ柄かわいくない?