前回の続き。つい最近麻疹ワクチンについて書いたばっかりで恐縮ですが。。。

 

おたふくワクチンですが、現在定期接種ではありません。勘違いしがちなのですが、定期接種ではないということは、特に国としておすすめではないので打たなくてもいい、と思っている人があまりに多いのですが、おたふくかぜは予防できるなら予防するに越したことはない病気です。

 

大人になってからかかると重症化するとか、髄膜炎になることがあるとか、いろいろありますが、一番はムンプス難聴を引き起こすことがあるからだと思っています。

ムンプス難聴は、おたふくにかかった人の0.1%くらいの頻度(およそ1000人に1人)で起こるといわれている、片側性の高度難聴です。治療法はなく、多くはほとんどの聴力を失います。片側とはいえ、聴力を失うと、音のする方向が分からなくなったり、バランス感覚が狂ったり、雑踏の中などでの細かい音の聞き分け能力が低下したりするので、すごく困ることがあります。耳は2つで1つであり、1つでは2つ分の働きはできないと言われます。

日本では年間に数百人の子供がムンプス難聴を発症しているといわれています。また、おたふくは不顕性感染(症状がなくても感染している状態)率が高いので、大人の突発性難聴のうちの何割かも、実はムンプス難聴なのではないかともいわれています。

 

また、おたふくは精巣にも炎症を起こします。特に大人になってからは、20-40%もの合併率があるともいわれており、精子数の減少や、ひどいときには不妊にまで陥ることもあるともいわれています。その他、脳炎や膵炎を起こすこともあります。

もちろんワクチンも、生ワクチンなのでこれらの副反応のリスクがないわけではありませんが、自然感染に比べて圧倒的にその確率は低く、最近の統計でも、難聴に関しては発症者はワクチン未接種者だけということなので、定期接種ではありませんがやっぱりワクチンを打つべきだと思います。いくつかある研究では、ワクチン接種者に難聴発症者はなかったとのことです。

ワクチン2回接種で99%は予防できる、とされてはいるものの、やはりたまに、2回されていても耳下腺が腫れる方がいます。実はこれらがすべてムンプスであるという証拠はありません。もしかしたら、違うウイルスが耳下腺炎を起こしているのか、それとも体質的にワクチンの効果が出にくいのか、、いろいろな可能性がありますが、兎にも角にもできることはワクチンを打つことです。

 

ちなみにですが、医師がワクチンを勧めるのは、儲かるからだとかいう陰謀論ありますが、勤務医はワクチン接種者が増えてもまったくお給料に反映されません。むしろ、予約がいっぱいになって仕事が大変になる。。ま、病院の売り上げには貢献するのでしょうが、そんなことでは昇給もありませんし。。。開業医さんは多少関係あるか~。それも微々たるものですが。むしろ病気を予防したら、小児科医の活躍する場所は減っていってしまうのがちょっとしたジレンマですね。

 

わが子は3日目にはほとんどもとの姿に戻り、結局発熱もせず。その後、心配した難聴も発症しなかったようで、よかったです。実は2日目の朝、「耳がなんか変~!」って言われたときにちょっとドキっとしてました。。「え!!」っていって、慌てて耳横で指擦り合わせて確認したのですが、異常なし。動揺は隠したつもりでしたが子供は、「なんかあかんことなの?」っていぶかしんでいました。笑
 

 

 

来年のためにジオラインまた買っておかねば・・・。