外国から来られた観光客が、日本ではしかを発症してニュースになっています。

はしか🟰麻疹は、数ある感染症の中でもトップレベルに感染力が強く、同じ空間にいただけでうつってしまうことがしばしばあります。

今回も、同じ飛行機に乗っていた人も感染が確認されているし、発症した人が、京都から近鉄電車に乗って奈良に行っていたことが判明してから、しばらく経ってもいろいろな人が移動したのちに全国各地で発症しています。

 

麻疹の感染力はというと、よく指標に使われるのが「基本再生産数」というものですが、これは新型コロナのときにも話題に上ったので聞いたことがある人も多いかと思います。基本再生産数というのは、一人の人が、免疫を持たない集団の中でどれくらいの人にうつすのかという平均値を出したものですが、あの新型コロナはだいたい1.2-2.5程度と言われていました。ちなみにインフルエンザは1.3-1.8くらい。そして、麻疹は12-18で、まさしくけた違いです。

ちなみにおたふくや風疹でも5-7程度なので、いかに麻疹がすごいかということが分かると思います。

しかも、おたふくなどは結構、不顕性感染(=感染しても症状が出ない)の率が多いのに対して、麻疹は感染すればほぼ確実に発症すること、そして発症したら重症化しやすいこと(昔は結構死んでたもんね)、脳炎などの重篤な合併症も多い、そして、発症初期には診断がつけにくいことも問題です。

 

麻疹風疹ワクチンが定着し、日本では自然の麻疹は撲滅されています。

ただし、外国から入ってくるものに対しては、免疫が付かない人もいるし、ワクチンをきちんと打てていない世代もいるので、まだまだ守りが弱いです。そして、昨今はほとんど麻疹を診なくなったことから、医師の中でも麻疹患者を診て、初期からすぐに麻疹と診断できる人がどれほどいるか、ちなみに偉そうなこと言っていますが、私ももう麻疹は10年は診ていないし、今まで診たのも数人だし、もっと言えば子供の麻疹は診たことがありません。たぶん、私よりもっと若年の医師はもっと診たことないと思います。

麻疹を診たことのある医師は、「あんなんめっちゃしんどそうやし普通の風邪と違うことくらいわかるで」とおっしゃいますが、疑ってかからないと麻疹の特徴的な所見も余裕で見逃すし、下手したら川崎病とかアデノとかと誤診することもじゅうぶんにあり得ます。

 

空気感染する、発症前から感染の可能性がある、診断が難しい、となれば、手立てはただ一つ。

予防接種を打つことです。

麻疹ワクチンは定期接種化されたのが2000年4月2日以降に生まれた子が対象なので、それ以前の人は接種は1回もしくは0回、1972年以前に生まれた人に関しては打てていない可能性もあるのでご注意。

ちなみに、抗体を測って、低値であれば接種、という考えもありますが、検査だけに行って、結果待って、っていうだけでも時間も労力も食うので、検査せず接種しちゃってもいいです。もし、抗体があったうえで接種しても、問題はありません。

 

 

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