依然インフルの流行が続いています。

 

保育園によっては、一時クラスがほぼ壊滅状態に陥った、というようなことも聞きましたが、それがいろいろなところで起こっており、しかもインフルAだけでなく近頃はインフルBも出てきて、熱だけでなく胃腸炎症状が出ている子もいたりする中、案の定というか、急性胃腸炎の流行もはじまっています。

 

急性胃腸炎といえば、ノロウイルスやロタウイルスなどを想像されるかもしれませんが、実にさまざまなウイルスが原因となりえます。ただ、ノロやロタは感染力が非常に高く、症状が重くなりがちで、点滴治療や入院加療が必要になる率が高いので、特に用心しなければいけないため、保険適応の年齢や条件もありますが、数十分以内に検査結果が出る、迅速検査ができるようになっています。

ノロやロタの何が厄介かって、やっぱり感染力です。そして、1回かかっても、他の遺伝子型もあることもあり、障害のうちに何度も感染する可能性があります。

 

ノロウイルスやロタウイルスは消毒に強い特殊な膜に覆われており、一般的なアルコールが無効で、消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効です。

次亜塩素酸ナトリウムの適切な濃度は200ppm以上で、しっかり浸すようにしないと消毒できず、吐しゃ物などは1000ppm以上の濃度に漬けなければ滅菌できないといわれています。

塩素系消毒薬については、哺乳瓶洗浄に使われるミルトン@が利用できます、とよくご案内していますが、ミルトンは1%という濃度で、原液で10000ppmです。なので、200ppmにしようと思ったら50倍に薄める必要があるので、10mlを490mlに混ぜて全体を500mlにすれば一応の200ppm濃度の消毒液の完成になります。これで、感染者が触ったもの、床、ドアノブなどの環境中でウイルスがつきやすいと考えられるものを浸すように濡らしたあと、10分以上おいて水拭きして、消毒完了になります。

環境消毒を一日何度もやるのは実質的に難しいですが、せめて胃腸炎の子供が家族にいるときは、1日1回でもやると家族の感染リスクは下げられます。また、当然ですが家族のほうも、いろいろなところを触った手をそのまま口に持っていくと感染リスクが激増しますので、周りのものは基本的に不潔、何か食べたりするときには必ずその前に手洗いを励行する、ということを厳守すれば、理論上接触感染は防げます。あとは、吐しゃ物などが乾燥してエアロゾル化した場合なんかはもうどうしようもないのですが、定期的な換気が有効ではあります。

結局はすべての感染対策はコロナと同じです。この4年間やってきたことでみなさんの衛生観念は爆上がりしているはずなので、このままできることは続けましょう。

あ、前にも書きましたが次亜塩素酸水というものがありますが、特にノロやロタのような消毒に強いウイルスに関しては、消毒効果はあまり望めないといってもいいでしょう。というか、製品の定義がいまいち曖昧で、ものによっては普通のウイルスも消毒できない場合もありますので、注意。少なくとも、次亜塩素酸ナトリウムとは全然違うものなので混同しないようにしてください。

 

ただし、感染症からずっと逃げ続けることは事実上不可能です。

先日外来に来たお母さん、子供の熱が怖すぎて、インフル大流行の中保育園に行かせられない、とずっと休ませ、自分自身も仕事を休んだり、周りの人に頼み込んでずっと過ごしているとのこと。でも、それでずっと過ごすわけにもいかないし、いつかはかかるものだし、それが現状普通のことだよ、と説明しました。

 

ミルトンはこのサイズが使いやすいので常備しています。あんまり使うことなくなったけど。

 

 

とはいえ、実際のところ、ノロであってもロタであっても、