さてさて、これもここ最近あった症例シリーズですが(多少の改変あります)、

キャンプ中に腹痛あり、医師の診断は便秘だったものの、まだ症状が残る症例。

通常、便秘の腹痛は波のある腹痛になりますが、そのままずっと断続的に半日も続いたり、意識レベルが下がったり、呼吸が荒くなったりなんてことにはなりません。

 

この症例、私がたまたま、キャンプ中の困り果てた知り合いから連絡を受けて、スマホのビデオ通話で呼吸の様子を見せてくれました。すると、見事なまでの腹式呼吸で、呼吸が非常に荒く、速い。パッと見でもうただ事ではないことは分かったので、すぐに再度病院を救急受診するように言いました。そのときに、病院に連絡する際、

「『昼から傾眠で、呼吸が異常に荒く早いので、血液検査をしてほしい』と伝えて」、と言い含めて受診してもらいました。

 

結果。。

血糖値800台

pH6.9

pCO2 29

 

診断は、「糖尿病性ケトアシドーシス」です。今回正解してくださった方多かったですね!すごい!一緒に働きませんか?

 

糖尿病性ホニャララなんじゃらほい?ということで病気については次回に回しますが、やはりこういったケースでは、「一般状態」=general condition(救急の現場では略してジェネラルと言ったりします)が何より大事になります。一般状態とは、文字通りその人の一般的な状態を指し、ぱっと見で明らかに悪いところがないかどうか、ということが大事になります。顔色や意識状態、呼吸の仕方などはすべてぱっと見て数秒でおかしいかどうか判断できるものです。この子では、ずっと横になっているというのももちろんおかしな状態ではありますが、やはり一番心配なのは、呼吸状態がおかしいこと。「頻呼吸」というのは呼吸不全につながる可能性がある怖い症状なので、10歳の子で素人さんが見てもあきらかに呼吸がおかしいというのは、すぐに受診しなければいけない症状です。

そして、検査ですが、次回にも書きますが、見る人が見たら、これは、、、と一発で血糖値を測って即診断かもしれません。見る人が見なくても、この呼吸であれば血液ガス検査は絶対すると思われるので、そのときに血糖値も、血液pHも一緒に測って診断できます。

と、いうわけで、設問1の答えは、「異常な頻呼吸」つまり、呼吸が荒く早いこと

設問2のこたえば「血糖値(もしくは血液ガス)」でした~!

 

糖尿病性ケトアシドーシスについては、次回ニコニコ

 

 

最近のスマートウォッチは、経皮的に血糖値まで測定できるのね!