いやー、一昨日は未明までW杯の応援でハッスルしてしまい、午後からひたすら眠かったです。。

いろいろな流れからアルゼンチンを応援していましたが、メッシもエムバペも、アルゼンチンもフランスも、どちらも本当に素晴らしかったです。

 

メッシの大会となった今回のカタールW杯。

あれほど活躍しているメッシですが、実は診療は169cmそこそこです。

10歳のときに成長ホルモン分泌不全と診断されているのはサッカーファンの間では有名な話です。そして、診断されてからは、成長ホルモンの自己注射を行う治療でやっとその身長まで伸びたということになります。

 

低身長の症状を来す病態はいくつかあります。

そもそも低身長の定義って?という感じだと思うのですが、日本では2000年度に日本人の全年齢での性別別平均身長のデータから、成長曲線というものが算出されており、その基準と比較して、-2SD(標準偏差)より小さい場合を低身長と定義しています。-2SDが分かりにくいかもしれませんが、もしも100人の人がいたとしたら、平均身長の曲線を0として、+2SD~-2SDの中に、95人が入る範囲のことです。つまり、逆にいうと-2SDを下回るのは、100人いたら1-2人程度。そりゃちっちゃいと思われますよね。

で、一番多いのは病的ではない「遺伝性の低身長」というやつで、お父さんやお母さんがちっちゃい場合は、生まれてくる子ども必然的に低身長になる可能性が高くなり、これに当てはまることが多いです。

ちなみに、子どもの将来の予測身長の計算式は、

男子:(父親の身長+母親の身長+13)÷2

女子:(父親の身長+母親の身長-13)÷2

で求められます。

 

その他の鑑別として、ホルモン異常、染色体異常、子宮内発育不全、骨や軟骨の病気、心臓や腎臓など内臓の病気の5つに大別されます。

ホルモン異常の中に、甲状腺ホルモン分泌不全や成長ホルモン分泌不全、性ホルモン分泌不全などがあります。これらのホルモンは、血糖値を調整したり骨や体の成長を促す作用があり、当然ながら分泌されないと身長の伸びが悪くなります。そして、甲状腺ホルモンは内服薬がありますが、成長ホルモンは今のところ注射薬しかなく、ほぼ毎日、体に注射でお薬を入れる必要があります。そして、この注射がとても高価なので、海外での治療は特に、家族への費用負担が非常に、負担になるものでもあります。(日本ではしっかり診断基準を満たせば一応高額医療制度の適応になります。)

そしてこの注射薬による治療は、思春期が終わるまで、つまり骨の成長点が閉じてしまう前に行う必要があり、それまでにしっかり診断をしなければいけません。

海外では高額医療制度での補助なんてほとんど期待できないので、そもそも治療にすらたどり着けない人も多いですが、メッシの場合は、メッシの才能を見出したバルセロナのクラブチームがその費用負担を行って治療を続けたことにより現在の功績があるということになります。

 

メッシの活躍は、世界中の低身長で困っている患者さんの大きな希望となりますよね。

低身長は診断のタイミングが重要です。未就学児は乳幼児健診、就学後は学校健診で-2SD以下であれば医療機関の受診要請が出ます。乳児の場合は個人差が大きいので迷うかもしれませんが、1つの目安として、3歳半の健診で-2SDを下回っていたら、一度医療機関で相談をしたほうがよいです。

 

 

まだまだ間に合います!!!

 

 

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