猫たちが残していったものは | 「猫やとらじ」の十猫十色

「猫やとらじ」の十猫十色

山梨県甲斐市 竜王駅から徒歩12分 猫雑貨のお店
イベントを企画したり、猫も作ったり
社長「とらじ」をはじめとする5匹の猫と店主のおはなし

 

家の中が、急に静かになりました

障がいがあった、らいくんは

移動するだけで、ぱたん!ぱたん!ぱたん!と音がしてました

 

家の中が、急にすっきりしました

らいくんのために、フロアーはペットシーツで敷き詰められ

特にトイレ回りは、砂で散らかり放題でした

 

みんなのごはんを用意した後

わたしは何をしていいのか分からなくなってしまいました

らいくんは、介助をしないと食べられませんでした

 

らいくんが、こんなにも存在感があったとは

今まで気が付きませんでした

 

心にぽっかりと穴が空きました

 

らいくんは、16年前

主人が、仕事中に保護した猫でした

 

道の真ん中で、倒れていた子猫

どの車も、その猫を避けて通っていたそうです

トラックに乗っていた主人は、道の真ん中で鳴いている子猫をほっとけず

そのまま、トラックの荷台に乗せたそうです

直ぐには病院にいけず、数時間後に連れて行ったときには

血も巡っておらず、時間の問題でした

 

腰から下を骨折していました

 

わたしも病院にかけつけ

酸素室に入っていたその子猫を見て

「頑張りなさい!うちの子になるんでしょ?!

うちに来るんでしょ?!頑張りなさい!」と願っていました

 

奇跡的に、命が繋がり

包帯を巻いたその子猫を連れて帰って来ました

うちに来る子・・・・来る・・・名前は「らい」

 

事故のケガとは、別に

何か、動きがおかしいと感じたのはその後でした

先天性の障がい

もって、3年くらいかもしれない・・・と、告げられました

 

病院から帰る車の中

景色が急にゆがんで見えて、涙が止まりませんでした

らいくんは、助手席に置かれたキャリーバッグの中で

元気よく鳴いていました

 

らいくん・・・・・

 

 

その頃、我が家には

とらじ と えん の2匹がいました

 

障がいを持った、らいを受け入れ

世話をし始めたのは、えん でした

グルーミングができなかった らいの体をグルーミングしたり

いつでも、そばにいました

 

とらじとえんは、らいに階段や猫タワーの上り下りを教えました

階段の上にとらじ らい 下にえん

らいを挟んで、何度も何度も階段を下りたり上ったりを繰り返していました

信じられないような本当の話です

 

 

らいが来て、3年目のクリスマスに

えんが、虹の橋を渡っていきました

病院で亡くなってしまった えんを、らいは状況がわからず

ずっとずっと、家の中を探し回っていました

 

その姿を見て、わたしは えんを失った悲しみから

らいを守らないと・・・・という思いに変わりました

 

次の年

かいじが、我が家にやってきました

虐待された経験をもつ かいじは、体じゅうに傷跡を持っていました

 

らい と かいじ

らいに、相棒ができました

 

 

成長期を過ぎた らいの体は

年々できなくなることが多くなってきました

食事の介助もそのひとつ

階段も、上れるけど下りれなくなったり・・・いずれ、上ることもできなくなります

 

でも、3年といわれた命は、繋がっていました

 

 

6年前、らいを保護した主人が亡くなりました

そして・・・今月7日

相棒だった かいじを らいは見送りました

 

3年だといわれていた命は、3つの命を見送ったのです

そして、16年間続いたのです

 

 

一昨日の夜12時から2時

らい と わたしの長い長い2時間でした

 

頑張って!頑張って!!と言っていた言葉はいつしか

大丈夫だよ・・・に、変わり

ありがとう・・・に、変わりました

 

らいは、自分の役目が終わった・・・・と、言っているようでした

 

 

障がいを持ちながらも、お店に出てきて

お客様に愛され

そして、みんなに勇気と元気を与えていました

「らいくんが頑張っているから、頑張るね」と言いながら

お店を出ていくお客様がたくさんいました

 

えんを失った らいは、かいじによって救われたのかもしれないのです

そして、大好きな、かいじを看取って

その役目を終えたと思ったのかもしれません

 

 

かいじが迎えにきたわけではなく

らい自身が選んだ、その日だったのだと

わたしの心の中に落していったのです

 

 

す~~~っと体から抜けていく、その時を迎えた時

あっ・・・・・っと、ガクガク震え始めたのに

どこか冷静で

温かい体を整え、顔を整え

でも、動くんじゃないかと思い、何度も何度も耳を近づけて

鼓動を確かめました

 

 

ひとりで看取る

何かを間違えそうになってしまうのです

自分の希望的な思いと現実

何がどれが本当なのかわからなくなってしまうのです

体を整え、保冷剤を用意している行為は間違っているんじゃないかと

何度も思いながら

あっ!今、耳が動いた!体が動いた!

そんな錯覚を何度も何度も見てしまうのです

 

それは、今日、火葬場に行くまでの車の中でも・・・・

冷たくなった体なのに

今、動いたかも・・・!!と

火葬場に、キャンセルの電話しなきゃ と

 

違うよ

 

そのひとことが

誰かの言葉であるのと、自分自身に言い聞かせるのとでは

恐ろしく本当に恐ろしく、違いがあって

心が辛いのです

 

らいと、火葬場までのドライブ

らいくん・・・・あの日と同じだね

車の中、景色がゆがんで見えて、涙が止まりませんでした

でも・・・らいの鳴き声はもう聞こえません

 

 

 

あんなに甘えん坊だった、かいじは

最後の最後に、わたしを諭すように、逝きました

 

らいは、わたしにすべてを見せて逝きました

障がいであること

そして、その命が尽きるその時まで、どうなのか・・・

 

らい と かいじ

短い間に、2つの命を見送りました

 

急に静かになってしまった部屋の中だけど

とらじ れん らおう まだ3匹がいるのです

見送った命が教えてくれたことをわたしは

まだまだ繋げていかなければならないのです

 

 

 

今日、開店の準備をしながら

かいじ と らいが、楽しそうに辰にのって空に昇って行くのを想像しました

うん・・・きっと、そうやって昇っていける

 

そして、信じられないことがっ!!!

ちゅ~るを顔中に飛ばして食べる、とらじ

こんなこと、未だかつてなかったじゃん!!!!

 

我が家の猫事情

何かが変わり始めているような・・・・そんな予感です

 

 

 

「猫やとらじ」

今年の営業は明日12月29日までです

干支猫の店舗販売をしています(数量限定)

 

12月30日・31日 休み

 

元旦・2日は、「放光寺」(甲州市塩山)で、干支猫の販売をします

※2日は、お昼頃からになります

 

3日は、未定

 

7日~店舗営業を始める予定です