これまでの人生、何度か音楽活動を中断しては再開しての繰り返しでここまできている。ただ、最初の中断から活動再開していなかったら、音楽業界で仕事をするなんてこともなかったろうし、今こうやって自作曲を投稿してる自分もいなかったであろう。

今回はその活動再開のきっかけになった女の子のお話である。

最初の中断期間は、高校3年生の頃から大学に入学してすぐのあたりであった。もう忘れてしまったが中断した理由はきっと大学受験とかそんなところだったと思われる。小学生高学年でギターを始め、中学生の頃から曲を作っては人前で歌っていて、作った曲も評判はよかったという、かなりちゃんとした活動をしていたのだが。大学に入っても音楽への情熱は冷めたままで、サークルもぜんぜん音楽とは関係ないところに入った。(余談だがあとで知ったのだが隣の部室には松前公高氏や中ザワヒデキ氏がいたらしい・笑)

そのバイトは確かそのサークルの先輩の友達の紹介だったので、結果的にはそのサークルに入ったのがよかったのかもしれない。それは中軽井沢のテニス民宿での夏休みの住み込みバイトであった。お客さんは大学のテニスサークルばかり。こっちは仕事してるのに、同じ年ごろの男女がたくさん遊びにくるわけで、あまりおもしろいものではない。そういえば、宿泊客の中に中学の後輩の女の子がいたりもしたのだが、今回はその子のお話ではない。

ある日、廊下の掃除をしているときに通りかかったその女の子はなんとも言えないオーラに包まれていた。別にひとめぼれしたわけではないのだがとても印象的。ぱーっとまわりを明るくする感じ。でもにこにこと穏やかな感じ。お日さまみたいな子だった。そしてその子が着ていたのが、当時ビールのCMで人気になったペンギンのキャラクターのTシャツ。

その子との関わりは、その廊下ですれ違った一瞬だけである。それなのに、頭の中にはその子のイメージの曲が浮かんできた。

バイト期間が終わるとすぐカセットテープのマルチトラックレコーダーを稼いだバイト代で買った。(曲作りに使えるPCは当時は70万円くらいしたので無理)

こうして出来上がったのが「ペンギン・ガール」というインスト曲である。この曲をきっかけに音楽活動を再開した私はその後真剣に音楽に向き合い、のちに音楽業界に入ることができたのであった。(レコード会社はつらかったのですぐ辞めてしまったが・笑)

 

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「セピア・ガールズ」シリーズは、付き合っていたわけでもなく、片想いしていたわけでもないが、何年かに1回なぜだか思い出してしまう女性について書いた私小説的なものです。