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からのつづき。ナイチンゲール 神話と真実 の読書感想文。

 

読んでいる途中から、(あれれ…アレックスの言ってたことって、史実としては間違ってなかったってこと?)と思い始めていたので、

ミュージカル『ゴースト&レディ』でアレックスが言っていたことを検証

 

彼のセリフがこちら。

「軍の上層部に噂が広まっている。ここで死者が増えたのは、君が勝手に多くの負傷兵を受け入れた所為だと」

 

本書の内容によると、この時期のナイチンゲールはスクタリの衛生環境が最悪であるという認識がなかったらしい。

その認識がないまま病院を拡張した結果、劣悪な衛生環境に放り込まれる兵士が増えたと言えるので、アレックスが言っている内容は間違いではない。

 

正しいからって何でも口に出していいわけじゃないけどね。

 

ナイチンゲールは「スクタリでの死亡率が高いのは衛生環境が原因である可能性」を否定する手紙をパンミュアに宛てて書いているので、実際にそんな噂があったから否定したのかもしれない。

 

元婚約者という設定に引っ張られ、アレックスのモデルとなった人物はリチャード・モンクトン・ミルネスだとばかり思っていたけど、アレクサンダー・タロック、またはジョン・マクニールも反映されているのかもしれない。

アレクサンダーだからアレックス?

 

タロックとマクニールはクリミアに派遣された調査団(衛生・物資補給委員団)の一員で、ナイチンゲールと共に公衆衛生改革のために闘う友人たちである。ナイチンゲールの生涯において重要な人物だと思うので、何らかの形で登場しても違和感ない。

この史実が下敷きになっているのだとしたら、アレックスの発言も純粋な善意の忠告として多少、理解でき…なくはない…こともない?うーん…

 

なお、ゴスレにも登場するドクター・サザランド(ジョン・サザランド)は、衛生浄化を目的に派遣された第二次委員団の一員である。

史実だとナイチンゲールの主治医で秘書のような役割も果たしていたらしい。ごっつあんゴールを決めたみたいに書かれていて事実だとしてもちょっと気の毒だった…

 

調査団を派遣したのは・・・

パンミュア推し(笑)としていちおう言っておきたいことは、フローが要請したとされている調査団の派遣について。

 

『英国人名辞典』のナイチンゲールの項目では長らく「ナイチンゲールが執拗に嘆願した末」ようやく政府が衛生委員団を送り出したとされていた(ナイチンゲール自身は度々この説を否定していた)。

 

実際に調査団(衛生・物資補給委員団)を派遣したのは、スクタリの死亡率の高さの理由を直感したパーマストン首相とパンミュア陸軍大臣だった。この件でパーマストン側に先見の明があったことを示す手紙が残っている。

 

それはそれ。ゴスレはゴスレ。

公衆衛生改革のためにナイチンゲールが渡り合うことになったパーマストン首相は、なんとナイチンゲールが子どもの頃から家族ぐるみで付き合いがあったご近所さん。「まるでヒロインじゃねえか…!」ですよ、ほんと。

ゴスレはゴスレとして素晴らしいミュージカル作品だし、史実は史実としてとても面白かった。

 

 

おわり。