ナイチンゲール関連書籍(というより自分にとってはゴスレ関連書籍の括り)を読んだ読書感想文。
1998年にイギリスで刊行されたヒュー・スモールの原書第一版、"Florence Nightingale, Avenging Angel"に加筆を施した改訂版の新訳。
内容紹介はこちらのコラムが詳しい
復讐の天使。カッコイイ(厨ニ)。
クリミア戦争で亡くなった兵士たちのための復讐、ということだと思う。
一般市民の寿命をはなはだしく延ばした公衆衛生改革を成し遂げることで、“クリミアの天使”はイギリス軍・政府、それから自分自身に仇を討ったのだと感じた。
スクタリで犯していた取り返しがつかない大きな過ちに対して、ナイチンゲールがどんなふうに責任をとったのか、というのがテーマのひとつ。
ナイチンゲールについてこんな見解があることをこの本で初めて知り、かなりびっくりした。
10年くらい前の研究をまとめた本だと思うので、最新の研究ではどんなことになっているのか気になる。
イギリスの王室・政府・医学界、“チーム・ナイチンゲール”の関係者が入り乱れて中々ややこしいが、川島みどり氏の解説と、訳者あとがき・新版への訳者あとがきを読むだけでも面白いと思う。
余談。
政府関係者の中にパンミュア卿という興味深い人物がいた。当時のパーマストン内閣の陸軍大臣だ。
もう一冊読んだ伝記(ヴィクトリア朝偉人伝/L・ストレイチー、中野康司訳)の中では、ナイチンゲールと敵対して最後には屈する冴えない政治家として登場している。
しかしそれは韜晦した仮の姿なのである!というのがスモール版のパンミュアだ。
手の内を見せず、目立たず、強かに立ち回り、結果的に目的が達成されればそれでよしとするタイプの人物だったように思える。
内閣は軍の統帥権を王室から議会下院の民主的統制の下に置こうと画策し、パーマストンとパンミュアはその目的のためにナイチンゲールを利用する。ナイチンゲールとは必ずしも味方同士とは言い切れない関係だけれど、パンミュアはナイチンゲールを陰から支え彼女を守るように動いていたという。
ときにはナイチンゲールに辛辣に批判されようとも、言い訳めいた説明をしないというところがかっこいい。
余談のほうが長い。
つづく。
追記∶このサイトも分かりやすくて面白かった