恋シェのためのその③は『ハムレット』

※劇団四季『恋におちたシェイクスピア』をより楽しむために、シェイクスピア関連の作品を読んでいます

 

 

 

 

恋シェのためのその④

 

『十二夜』

シェイクスピア喜劇の最高傑作と評される本作は、『恋におちたシェイクスピア』とも関連あり。

まずは、あらすじをご紹介。

 

 

乗っていた船が難破し、イリリア国にたどり着いたヴァイオラ。

 

別れ別れになってしまった双子の兄セバスチャンを案じながら、身を守るため男の姿に扮し、「シザーリオ」と名乗ってオーシーノ公爵に仕えることにする。

 

やがてヴァイオラは、公爵に恋心を抱くようになる。

しかし、公爵の想い人は伯爵家の令嬢オリヴィア。

オリヴィアは兄を亡くした悲しみに沈み、公爵の求愛を頑なに拒んでいた。

 

ところが、公爵が恋の使者としてオリヴィアのもとへ送った「シザーリオ(=ヴァイオラ)」に、オリヴィアは一目惚れしてしまう。

 

一方その頃、生き延びていたセバスチャンもまた、イリリアの町へとたどり着く――。

 

もつれた恋の行方は、果たしてどうなるのか?

 

ヴァイオラとセバスチャンは瓜二つの男女の双子という設定、でもって喜劇(ラブコメ)なので、結末はおよそ想像がつくのではないかと。

 

『マクベス』や『ハムレット』のように、登場人物の内面を掘り下げてネチネチ考察するというよりは、シチュエーションやことば遊びを楽しむ物語と言えそう。

文字だけだと気持ちの変化が分かりにくいところがあったので、実際にお芝居で観てみたいと思った。

 

 

ストーリーは、ヴァイオラオーシーノ公爵オリヴィアの三角関係が本筋で、その傍ら、オリヴィアの館では他の登場人物たちによる、“ドッキリ” が繰り広げられる。

 

ドッキリの仕掛人は、オリヴィアの侍女マライア、オリヴィアの叔父サー・トービー・ベルチ、トービーの友人サー・アンドルー・エイギューチク。

ドッキリのターゲットは、オリヴィアの執事であるマルヴォーリオ。居丈高で堅物な彼は、マライアたちから煙たがられているのだ。

 

わりとエグいドッキリだと思うし、個人的にドッキリ全般が苦手なこともあり、残念ながら何が面白いのかよくわからなかった。

 

どうやらシェイクスピア時代の喜劇では、偽善的で高慢な人物が笑いの標的にされるのはテッパンで、これは当時の観客にとっては痛快な風刺だったらしい。

「何が笑えるか」の境界は、社会の価値観と共に変わるのだろう。日本のお笑いもそうかも。

 

マルヴォーリオについて直接述べたものではないが、Uブックスの解説を読んで「なるほどー」と思ったので引いておく。

 

ラムやハリエットの論には気迫がこもっていておもしろいが、それにしても少々大げさすぎると私たちが感じるとすれば、それは私たちがその次の世紀に生きているためかもしれない。今世紀の初め、演出家のグランヴィル=バーカー(Harley Granville - Barker)は、観客が自分たちの感情をそのまま登場人物の中に読みこんでしまう傾向に対して、作品をまず「エリザベス朝の人々の眼で」眺めなければならないと警告した。その眼には、ヴァイオラは現実の若い美女ではなく、少年俳優が演じている姿として映るはずである。

 

村上淑郎 (白水社Uブックス『十二夜』解説より)

 

 

 

 

『十二夜』は、小田島雄志訳→河合祥一郎訳、の順に読んだ。

 

小田島雄志訳の白水社Uブックスは脚注なし。

https://www.hakusuisha.co.jp/smp/book/b205481.html

 

 

 

シェイクスピア作品で河合祥一郎訳を読んだのは今回が初めて。リズム感があって読みやすい。

https://www.kadokawa.co.jp/product/201106000741/

 

 

角川文庫(河合祥一郎訳)は本文と同じページに脚注があり、その脚注からある種の「熱さ」が伝わってきてとても面白い。

 

すでに読んだ『ハムレット(松岡和子訳/ちくま文庫)』巻末に収録されていた河合氏の解説も、同じように熱意が伝わってきて面白かったことが印象に残っている。

本当にシェイクスピアが好きで、たくさんの人にその魅力を知ってほしいのではないかと感じた。

 

 

おわり。

お読みいただきありがとうございました!