【隔離】十字星のキボウ(妄想な遊び) | ねこもふ

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自分語りボヤキの墓場です
絶賛ばかりじゃないので閲覧注意

*某ショーの2次創作です 苦手な方は即刻離脱すべし

 

個人の自己満妄想補完計画

最後は希望(キボウ)で締めようということで

この妄想シリーズは最期になります(妄想の魂よこれで成仏いたしたまえ)

主人公はカケルとユキ

二人の銀河鉄道での旅です シュールな二人の人生総括新婚旅行なのか?

そしてトキオの命運は二人の手に委ねられるのかーーーー

 

 

ー十字星のキボウー

 

え?ユキ どうゆうこと・・・

何その恰好?

 

可愛いでしょ 魔法少女みたいで

 

ー本日はご乗車いただき誠にありがとうございます

この列車は宇宙ステーション発サウザンクロス行銀河鉄道間もなく発車致しますー


ユキ どうなっているんだ?君は?

 

そう私死んだ!

カケル 切符持ってる?

 

カケルはポケットをまさぐると一枚の紙きれが

ユキにこれっと差し出すと

 

そうカケルも死んだ!

カケル 案内したいとこ沢山ある 一緒に行こう!

 

 

プリオシン海岸

 

ここではありとあらゆる生命のDNAについて日々発掘調査する学者たちがいる

 

「カケルもこんな感じで鉱物を探していたのかな?なんて

生命は太古からずっと繋がっているんだって私もカケルも繋がっているんだって

もしもね 私たちに子供が産まれたらその子はきっと

カケルのような優しい子で私のような寂しがり屋で

そしてトキオのような真っすぐな人と恋をしてそうだったら素敵だったな

あっごめんカケル有りえない事だったね」

 

カケルは申し訳ないというような顔色で

「だってユキは病気だったし」

 

「ありがとうカケルいいんだよ 言わなくても カケルは嘘が付けないから

しんみりしちゃったね 丁度いいよ 次は自由の国 楽しいよ」

 

 

ケンタウロス座

 

「人々というか獣人さんたち?色々な人々が心を自由にハッピーに暮らしているんだよ

年中無休のお祭りシティ さあ楽しもうカケル!」

 

やがて子供の頃のようにはしゃぐ二人 楽しそうに笑い踊っているカケルの腕を

ユキはふいに引き寄せた そして周囲に響き渡るような大声で言った

「カケル一緒にいてくれてありがとう 大好きだよ これからもずっと」

そういうと周りの獣人たちが

「おめでとう おめでとう おめでとう」と祝い二人の周りではしゃぎだした

カケルは幼き頃のようなリンゴ色に頬を染めた元気な笑顔のユキを見つめ 

そしてぎゅっと頭を抱きしめた

 

 

白鳥座

 

遠く美しく北の空に輝く十字の星の並び

今もずっと前からも白鳥はユキの頭上にいつも輝いているが

 

「私には無理だったな」と 星たちを従えて輝き舞う白鳥を見つめながらユキは言った

「病気は関係ない 私はライバルたちが羽ばたいていくのをずっと見送っていた

そして渡りを忘れた白鳥のようにずっと同じ湖で漂っていた

本当は新しい旅を始めなければならないと分かっていたけど

同じ場所にいればカケルやトキオと一緒にいられるとそれに縛られていた」

 

カケルは視線をユキから遠い輝く白鳥に移し

「ユキが苦しんでいたことは分かっていたよ

僕やトキオの道は踏ん張って頑張って時間もかけて歩んでいけば小さな進歩はある道だけど

ユキの選んだ道の厳しさはそういうことでは報われないものだよね

僕もトキオも自分のことで精いっぱいでユキの苦しみに寄り添えなかった

夢はいつでも更新できるよ僕たちはいつも一緒だよと言ってあげられたら良かった」

 

「私も素直に夢を変えても新しい夢に向かってまた努力を始めるから一緒にいてと

カケルとトキオに言えば良かったのかな?」

 

(ここからだったら届くかな?まだ勇気がないな・・・カケルとまだ一緒にいたいな)

 

 

サソリ座


ここは怒りと憎悪の星だったはずが今は静かに赤い砂漠が広がるだけ

 

戸惑うユキにカケルが

「ここは何の星なの?赤いだけで何もないような」

ユキは周りをこれでもかと見渡しながら

「ここは怒りと憎悪の星のはずなんだけど私が最初に来たときはそうだったのに

もしかしたら心の荒廃がこの星の風景に反映するのかな?」

続けてユキが何処かで聞いたであろう話をし始める

「この星の主は『他者の幸い』を選べず後悔の中死んだ蠍の化身だそう

その昔自分が生きるために他の虫を狩ってその日その日の命を繋いでいたところ

ある日狐に見つかって逆の立場にたたされた

一生懸命に逃げこんだ先が井戸の中溺れて命尽きようとした蠍が最期脳裏に過ぎったのは

自分は生きる為に他の命を犠牲にしてきたのに

逆の立場になったら無様に逃げて井戸の中で無意味に命を終えることになってしまった

何故この命を狐の命に役に立つよう投げ出さなかったかと」

 

その話を聞きカケルは

「僕も後悔がある ユキとトキオにだ

ユキにはずっと一緒にいると誓ったのに最期を一人で迎えさせてしまった

トキオにはずっと一緒に夢を追いかけようと約束したのに途中で投げ出してしまった

どちらも自分の中途半端で思い上がった自己犠牲がどちらも壊してしまった

ちゃんと三人で話せば良かったんだと

ユキ一人で逝かせてすまなかった 本当にすまなかった」

その場にうずくまってしまったカケルにユキは

「私にとってはこの星は怒りの星だったんだよね

この星で初めて自分の心の底にカケルとトキオに対して怒りを持っていたことに

気づいてしまった

カケルはどうして生涯の想い人として私を愛してくれなかったのか

そうだったらトキオに正直に病気のこともそしてカケルと一緒になることも話して 

そうしたらきっとトキオは心からおめでとうと言ってくれたはず

ちゃんと祝ってもらえたらトキオからあんな酷い言葉ぶつけられることなんて無かった

二人とずっと生きたかった二人に大切にされながら死にたかったという思いは

自分でもどうしようもない怒りになっていた

カケルは嘘の付けない人 トキオは何も知らなかった

だからしょうがなかったんだよね ちゃんと三人で話せば良かったんだ

でもそうしなかったのは自分のカケルを独占したかったというエゴだった

とんだ逆恨みだよね

だからカケルが後悔することは無いよ 無いというとカケルはかえって辛くなりそうだから

カケルと私は共犯だよ ああ罪でもまだカケルを独占したいんだ あきれたな」

ユキは苦笑した

 

漸くして顔を上げたカケルはユキに

「トキオどうしているのかな」っと小さな声で言った

 

 

終着駅サウザンクロス

 

終点 サウザンクロス駅 旅を終えなければならない場所

二人は切符を用意して下車しようとしたときに

哀しみと怒りに満ちたトキオの思念がカケルとユキに届く

 

駄目だ!トキオ!まだ生きているのにこのまま銀河鉄道に乗ってしまうと

最後は石炭袋に投げ込まれて魂は永遠に迷うことになってしまう

 

カケルとユキは隣のホームで出発の準備をしている

新しく生まれる魂を乗せる地球行きの列車に潜り込んだ

トキオを止めないと 現世に戻さないと

当然死者が乗り込むことは許されない列車

息を殺して潜むことにし 間もなく二人を乗せて出発した

 

「死人が潜り込んでいるぞ 地球に着く前に捕まえて降ろさないと大変だ」

と乗務員が小さな魂の合間を抜けながらこちらに進んでくる

ユキはカケルに

「トキオの事お願いね 絶対に助けてね だから行くね」

とすっくと立ちあがると乗務員のいる方へ向かおうとした

カケルは「ユキっ」と小さく鋭く声をかけると

「次は白鳥座だから」と大丈夫っと微笑み行ってしまった

 

列車が止まった

小さな隙間から覗くと一人列車から降りるユキ

そして銀河を流れる川に向かいその光る水の中に両足を浸す

するとユキの身体は小さな星屑になって空高く昇って行ってしまった

 

ユキとうとう行ってしまったね トキオの事は大丈夫だ 

 

一人カケルは地球に着くとこっそり列車を降りる

そしてすでに改札を通って駅構内にいるトキオの姿を見つけた

 

 

 

 

*あとがき上げました(7/6)