働いているレストランに、床掃除をしているメキシコ人のIがいます。
いつもラテンミュージックを聴きながら、あるいはヘッドフォン式のマイク(っていうの?)で電話しながら掃除しています。
奥さんと娘さんはメキシコに住んでいるそう。
先日、そのIが半泣きでオーナーになにか訴えていました。
英語がほとんど話せないため、ものすごく時間をかけて分かったことは、彼の13歳の娘が、朝学校へ行くためいつものように家を出たきり戻らない、ということでした。
心当たりには全部電話をしてみましたが、誰も知らないそうで、Iの奥さんは、当たり前ですが心配で半狂乱。
I自身も地元の警察と連絡をとっていますが、距離があるためまどっろこしいことこのうえない。
オーナーもフェイスブックで、メキシコに知り合いがいる人は拡散してくれるようにと、娘さんの写真と特徴を何度も載せました。
考えまいとしても、メキシコで頻繁に起こる誘拐事件、そして臓器売買などが頭に浮かびます。
私たちでさえそうですから、Iにしてみたらいてもたってもいられない気持ちでしょう。
気が気でない時が過ぎました。
気持ちは掃除なんかしている場合じゃないんでしょうが、かといって何をできるわけでもなく、Iは変わらず毎日暗い顔で仕事に来ました。
そして4日後、ついに娘さんは見つかり保護されました。
彼女をさらったのは、近所に住む男とその友人で、警察の静かな行動のため娘さんは殺されずに保護されたよう。
良かった・・・
Iは泣いていました。
Iの家族が住んでいるところは、メキシコのどういう治安のところかは分かりませんが、そんなことが日常的に起こるなんて。
メキシコ人の多くがアメリカへ移住するのも無理はありません。
日本に比べると治安が悪いとされるアメリカですが、そのアメリカへ逃げてくる人たちもいるんだな。
なんか大金を投じて壁を作ろうとしている人もいるようですが、まあ政治の話は手に余るので。