私のレストランのキッチンでの仕事は、午前7時から午後3時。

その間、水を飲むだけでいっさい何も食べません。

なので時々空腹に耐えかねて、仕事が終わるとうちに帰る前に何か食べようと、付近の店へ入ることがあります。

 

先日入ったダイナーで、私の後ろに座ったカップルの話が聞こえてきました。

 

時は早い夕方。

そのカップルはダイナーのオーナーと知り合いのようで、大声で話し出したことによると、

 

1. 夫の仕事は何だか分かりませんが、夜のシフトでこの食事の後仕事に行く模様。

2. 妻の方は、今仕事が終わって家に帰る前に夕食を夫と食べている。

3. ふたりには小さい子供がいて、妻が家に帰るまで夫と一緒にいて、朝までは妻が子供と一緒に。

4. そして、このダイナーでの食事が、一日のうちで唯一彼らが顔を合わせる時。

 

弁解させていただくと、決して耳をそばだてていたわけではなく、私もひとりだったし、彼らのオーナーとの会話が大声だったので、自然に耳に入って来てしまったんです。

 

その会話を聞いて、「うーーーん」とうなってしまいました。

 

子供のためには、両親のどちらかがいつも一緒にいられるし、ベビーシッターなんかを頼んだら、何のために働いているのか分からないくらいお金がかかるので、経済的にはこれがベストなんでしょうが。

 

夫婦のありかたというものを考えてしまいました。

 

彼らは「こんな短い時間一緒にいるだけだから、喧嘩にもならないし」と言って笑っていました。

ここまで割り切れたら、ふたりで話し合って同感した上での生活形態なら、他人が何も言うことはありません。

むしろ爽やかな印象さえ感じました。

 

 

が、私とシフトは違えど同じキッチンで働く女性の同僚も、全く同じ状況の夫婦のありかたなんでした。

ダイナーの夫婦と違って同僚というので、もうちょっと突っ込んで話を聞くと、やっぱり子供のためというよりは、そうしなければ生活していけないという厳しい現実が。

 

夫婦で昼夜シフトをずらして働く人もいれば、ふたつの職場でフルタイム(16時間)働く人もいる今の職場は、私にとって今まで知らなかった人生勉強の場です。

 

 

 


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