ウミウシの特殊能力によって引き起こされた二種類の事件、モコネコは最後の事件を解決するために、必死で飛び回り情報を集めていた。

すると、大手企業で働いていた一人のOLが気を失って倒れた。

 

「ちっ、ブス! 見なかったことにして他を当たろう。

どうせ、リストラ予定のブスOLだ、金も将来性もないだろう。

ここで殺しておくのが、せめてもの情けというものだ!」

 

 モコネコは、OLを無視して飛び立とうとする。

すると、ウミウシが一枚の写真を見せて来た。

 

「うわー、委員長に勝るとも劣らない美人じゃないですか。

年齢は二十歳ってとこですかね。日付は二年前ですか。どこの誰ですか?」

 

 モコネコの問いに、ウミウシは指を差して答えた。指の先は、ブスOLを差していた。

 

「ガーン! そ、そ、そんな……。

フトモモむっちりのこの美女が、ちょっと胸に手が余って困るぜと思わせるこの美女が、日本人なのにアメリカさんもびっくりするほどの体格の良いナイスバディのこの美女が、あんな骸骨のようなブスOLだなんて……。

オイラは信じないぞ。オイラは、ちょっとむっちりが好みなんだ、嘘だと言ってくれ!」

 

 ウミウシは悲しい顔をして言う。

 

「これが真実なんだ……。

罠はアタイが、アンタを試すために張ったのさ。

でも、あの人を罠にはめたのはアタイじゃない。

 

でも、アタシの力じゃどうにもならなかった。

そこで、アンタにどうにかしてもらおうと思って、ここまで誘導したのさ。

モコネコ、お願い。アタイの主人を救って……」

 

ウミウシは、ついに泣き出してしまった。

モコネコは、ウミウシを慰めるように、優しく抱きしめる。

 

「そうだったのか……。彼女が元に戻り、会社を辞めなくても良くなれば、彼女の貯金を全額もらうが、それでもいいかね?」

 

「かまわないよ。彼女が元に戻るなら、どんなことでもする!」

 

 モコネコは、メアリー先生の助けを借りることにした。

メアリー先生が、特別に助けに駆け付けてくれた。

 

「やあ、モコネコ君。

で、どこかね、かつては美人だったが、今はブスに成り下がった女性というのは? 

 

美女を救うのも僕の務め、美人OLとして復活したら、こんなクソ企業は辞めてもらい、メアリー牧場で仕事をしてもらうよ。

もちろん、高額な医療費は請求させてもらうがね……」

 

 メアリー先生は、ブスOLを診て言う。

 

「ハハン、僕にはもう分かってしまったよ。モコネコ君、君には分かるかね?」

 

「分かりません。愚かで無知なクソ羊猫のオイラにも分かるように、どうかご丁寧に教えてくださいませ。もちろん、授業料はお支払いいたします!」

 

「ふっ、無料で教えてあげるよ」

 

「ハハア、なんとお優しいメアリー様。メガネを掛けた状態で説明してください。

オイラ、メガネ萌えなんです!」

 

 メアリー先生は、モコネコの要求に応え、メガネを掛けるというサービスをしてくれた。

 

「これはですね、インターネットで今はやりの薬を飲み続けたためにこうなったのです。体重を落とす薬は、国が認めた良い薬もあります。

それでも、これらの薬は、食欲を失わせたり、吸収を抑えたりする毒なのです。

 

ダイエットに成功するからといって飲み続けると生命まで失いかけない危険な薬品なのです。

信頼できるメーカーや専門の薬剤師に相談しましょう。

ネットは便利ですが、安易にそういう薬を飲まないように注意しましょう!」

 

「ワ―、メアリー先生のように賢くて、美人の先生に健康を管理してもらえるなんて、オイラ達はなんて幸せなんだろう!」

 

 ウミウシは、メアリー先生にお願いする。

 

「メアリー先生、どうかアタイの主人を助けてください!」

 

メアリー先生とモコネコは、優しくこう言った。

 

「ああ、このOLを僕好みの美女にしてやろう。

そして、君はモコネコと結婚し、子供を最低五匹は産んでもらおう。

もちろん、子育て以外にも仕事はしてもらうぞ!」

 

「ふっふっふ、来月結婚して、ハネムーンはヨーロッパ旅行だぜ! 

今夜は寝かさないぜ、ハニー♡」

 

「あん♡ ちょっと気が早いわ、お互いを知る時間が欲しいわ♡ 

アタイ、こう見えても内気なんだよ♡ 幸せにしてね、ダーリン♡」

 

 こうして、モコネコとウミウシは結婚して、新たな生活を始めた。

しかし、モコネコの冒険はまだまだ続く。

 

 「それにしても人間の支配って素晴らしいね、メアリー先生」

 

「ああ、そうだな。昼間は長時間働き、使えないと三ヶ月で売りに出される。

そして、夜はゲームでストレス発散。

仕事をしないとニートと言ってバカにされる。

 

まさに良くできたブロイラー工場だよ。

お金は元々ないから、危害を加えられる心配は少ないし、攻撃してくる奴が出たら、ゲームのせいにして原因を突き止める必要はないようにすればいい。

 

そして、お金のある奴だけが子孫を残していくことを許される。

いずれは、バカや役立たずは、殺される時代になるんじゃないのか? 

そして、天才と秀才、体格の良い人間だけを残していく世界。

まさに理想の国じゃないか!」

 

「ワ―イ、バカな人間を解剖、毒殺、洗脳など非人道的に扱える夢の国々が誕生するんだね! 

 

どうせ今は、そんな酷い事をするなんて考えられないとか偽善ぶっているけど、アメリカやイギリス、中国なんかがそう言う実験をしている、やらない国は取り残されるぞと言われれば、どんどん賛成していく人は増えて行き、次第に率先していく国になるからね!」

 

「その通り! 今はまだ計画段階だろうが、いずれは地球上の過半数の国々の人が賛成することだろう。

人口はどんどん増えてきている。

おそらく、高収入の研究所職員の補助職という形で、切り捨て人間が出てくるだろうな!」

 

「そうですね。もうすでに、原子力発電所での人々のためになる仕事って名目で、切り捨て人間が出ていますから……。

情報を漏らさなきゃ、一般人が安全か、危険かなんて分かるわけありませんからね」

 

「ああ、情報操作で、何人か神隠しにあったりする世の中が来るぞ。楽しみだ!」