ヤギイヌとの死闘も無事終わり、モコネコは平和なひと時を過ごしていました。
「ふー、将来への資金はできたけど、当分は働かないとな……。
うーん、もうちょっと寝るか……」
しかし、事件は突然に降りかかったのです。
「ハーイ! アンタがモコネコ?
ヤギイヌとかいう老い耄れを倒したくらいで、粋がっているんじゃないよ!
今度は、アタイを倒してごらん!」
モコネコは、ウミウシを見て驚いた。
「ヒャー、なんてナイスバディ!
こんなに大きい身体じゃ、乳の量もすごいんでしょうね……。
あなた様のお名前は?」
「ふん、煽てたって無駄だよ! アタイの名前は、ウミウシっていうんだ。
お近づきの印に、アタイの乳を飲んでみるかい?」
「ええ、良いんですか? やはり胸が大きいと器も違いますね。では、遠慮なく!」
モコネコは、ウミウシの乳をガブガブと飲み始めた。
しかし、一分ほどで異変を感じ始めた。
「くっ、お腹が……、ゴロゴロ鳴ってる。
牛乳を子猫に飲ませちゃ駄目だったんだ……。
はっ、ま、ましゃか……」
「そう、そのまさか! アンタにワザとこの乳を飲ませ、動きを止めるためにね……。
その間に、アタイがアンタの大好きな人間を血祭りにする罠を張るのさ!
動けるようになったら、人間共を助けてやるんだね!
さもないと、人間は大変な事になるよ、モフフフ」
ウミウシはそう言って、どこかへ行ってしまった。
「くっ、しまった!
まあ、人間なんて基本どうでもいいし、一日してから活動を始めるとしますか……。
ムニャムニャ……」
一日してモコネコが起きると、近くの町は大変な事になっていた。
「くっ、周囲の町で、慟哭と呻きが聞こえる! いったいどうなってしまったんだ!」
モコネコが空を飛び始めると、ウミウシが近付いてきた。
「やあ、お目覚めかい? アタイがこの辺一帯に罠を張ったのさ!
この町にかけられた三種類の罠をすべて解決したら、アンタと戦ってやるよ!」
モコネコは、町の人々の声を聞き、激しく反応した。
「うーん、オイラが泣き叫ぶ人間の声が好きでこんな罠を仕掛けるなんて、オイラのことを知り尽くしている。ああ、惚れてしまいそう……」
「え? そっちが好きなの? 予想外! 一応、ヒーローなんだから、真面目に仕事しなさい! 年収の低い羊猫と結婚なんて、アタイはお断りだからね!」
「はーい! グラマーで可愛いメスウシと結婚するために、オイラは頑張ります!」
「キャー、イヤダ! 早く解決してよ、ダーリン♡」
こうして、モコネコは重い腰を上げた。モコネコは、近くの町に行き、調査を開始する。
すると、近くにいた人間の男性が突然に倒れた。
「うぐぐぐ、苦しい……」
「ああ、なんて心地良い声なんだ……。
ドSのオイラには、まるで鈴虫の鳴き声のようだ。
心が落ち着く……。
おっと、トリップしてる場合じゃない、すぐに助けなければ……」
モコネコは、男性の症状を確認する。
「ふーむ、これはグレープフルーツジュースと薬による相互作用だな!
飲み合わせにより、薬が効かなかったり、効き過ぎたりして、体に悪影響が出ることがある。
おい! おっさん、助けてやるから有り金を全部だしな!」
男性は気絶しているので、モコネコは財布からお金を抜き取った。
そして、メアリー先生に電話をする。
メアリー先生は、適切な処置をモコネコに教え、モコネコはそれを行う。
「ふん、適切な処置はして、救急車は呼んでやったぜ!
これから薬を飲む時は、薬剤師に相談するんだな。
グレープフルーツ、ハーブ、ナツミカン、イヨカン、ハッサク、キンカンなどに注意するがいい。
蜜柑、レモン、オレンジなどは大丈夫だ。
では、短い残りの人生をせいぜい楽しむがいい!
偶には、息子やその妻、奥さんなどに感謝の言葉を述べることだな。
人生が変わって見えるぜ!」
モコネコは、男性が救急車に運ばれるのを見届けると、クールに飛び去って行った。
そして、ウミウシはモコネコに近づいてきた。
「モー、アタイの罠を一つクリアしたくらいで、安心するんじゃないよ!
罠は後、二種類あるんだ。まだまだ人間は、ピンチだということを忘れるな!」
「ヤッター! まだ後、二種類もあるのか!
しかし、どうやって人間にグレープフルーツを飲ませたんだ? ま、ましゃか……」
「そう、そのまさか! アタイの特殊能力は、水を別の液体に変えることができるのさ。このドライデントの能力でね!」
「ニャーン、グラマーなだけじゃなく、そんな多彩な事ができる能力があるなんて……」
「さあ、人間から更に金を毟り取るんだろ!
早く助けに行きなよ!」
「イッエ―イ!」
こうして、ウミウシの登場により、人類は更なる危機に直面していた。
モコネコは、この強敵を倒し、人間に平和をもたらすことができるのだろうか?