タイのお土産に「プラクルアン」という物があるのをご存知だろうか?

日本の神社でいうところのお守りなのだが、なかなか危険な物品らしい。

 

「プラクルアン」に限らず、タイのお守りは貸す・借りるものとされている。

日本の神社仏閣では、授かったお守りは1年程度で返納して新たに授かるべしという話も聞くが、タイでは借りても返すことはまずなく、一応、効力は一生モノとされるのだ。

 

そんなプラクルアンを実際に手にしたいと思っている人もいるようである。

素人でも確実に本物を手にするなら、やはり寺院で借りるのが一番いいそうだ。

 

 

ただ日本と違い、どの寺院でも貸しているというわけではない。

タイの寺院は市民生活に密接した存在なので基本的には売店がないのだ。

寺院周辺でプラクルアンを貸し出す露店があってもニセモノの可能性が高いという。

 

寺院でプラクルアンの貸し出しがあるのは、多くがイベント的な場面であるようだ。

寺院に関係する祭り、何かしらの儀式、それから単純に寺院運営の資金集めの場合もある。

 

近年は手作りではなく金型で作る量産型が圧倒的だが、いずれでも、ちゃんと僧侶が読経などで何かしらの「パワー」を込めてくれるらしい。

 

貸し出しのあるイベントは事前にメディアなどで告知されるそうで、コレクターはこれを見て寺院に駆けつけるのだ。

 

いつでも入手できる場所となると、プラクルアンのマーケットに行くといいらしい。

 

バンコクで最も有名かつ恐らくタイで一番大きな市場は、タイ最高峰の寺院「エメラルド寺院」や、涅槃像がある「ワット・ポー」近くの「タープラチャン市場」だろう。

 

チャオプラヤ河沿いに位置するプラクルアンと呪物専門市場だ。

ここにあるプラクルアンは大半がニセモノであるお土産用品だ。

 

量産型で、それほどのご利益が期待できないものがほとんどなのだ。

記念に持ち帰るにはまだ良いお土産になるかもしれないが……。

 

ここでは、仲介業者がタイの村々を周って買い集めてきた量産型を置いているそうだ。

それでも市場が成り立つのは、ここは信仰心が強い人よりも、アンティークなどのコレクターを対象としているらしい。

 

先述のとおり呪物も売っているし、薄暗くて怪しい市場感は満点なので、観光にもってこいではある。

 

プラクルアンを借りる際、必要になるのは寺院なら数十~100バーツ程度だ。

すなわち、500円もしないくらいなのだ。

 

しかしタープラチャン市場では20バーツ(約80円)からある。

首から提げるためのケースや紐は別途必要になるが、これらは街中のどこでも手に入るので心配はいらないそうだ。

 

「本物のプラクルアン」はタイ社会の闇でもあるので、ある程度の価格を超える場合は手出しはしないようにしたい。

 

プラクルアンがタイの生活や文化にどれくらい密接したものかというと、プラクルアンで車が買えてしまうほど高価だという。高価な本物なら、等価交換が可能なのだ。

それくらい、プラクルアンの価値はタイの中では認められているという。

 

本物の中には何百万円もの価値を具えたものがあるということになるが、このレベルなら恐らく外国人でも手にしようと思えばできる。問題はそれを超える数千万、下手したら円建てで億を超えるようなクラスのプラクルアンだ。

 

 

プラクルアンの歴史はここ100年ちょっとだが、その前身であるプラピム時代を含めればずっと長くタイ文化に根付いてきたという。

 

その中で、タイ史に名を刻んだ高僧や歴史的に曰くのあるプラクルアンは希少性もあって高い価値がつくそうだ。

 

そういったプラクルアンは発見された時点でタイの権力者(今だと主に富裕層)に渡り、アンタッチャブルな人間関係の中で取り引きが行われているのだという。

 

一部では博物館から流れたものも当然ある。

これらはタイ文化省が盗品リストを作成しており、このリストによって逆に盗品の価値が証明されてしまうこともあるのだ。

 

タイ人の場合、一度入手して門外不出にすれば、永遠に見つからないが、外国人が手にした場合は自国に持ち帰ることになるので、このときに危険が迫るという。

 

タイの法律では、文化的・歴史的価値のあるプラクルアンを国外に持ち出すには許可がいる。

何千万円で借りても、警察にタレコミされたら空港で逮捕と没収は免れない。

金だけ取られ、裏コネクションでプラクルアンは売主に返るだけである。

 

知りすぎると生きて帰れない世界であり、本物のプラクルアンはそうとう怖い。

ご利益云々よりも人間の裏社会に通じる事が怖いようだ。

 

プラクルアンをアクセサリーと見るか、お守りとして見るかは人それぞれだと思うが、あまり危険な場所まで求めてはいけない物品のようだ。

 

 

 

 

 

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