マレーシアで実際に起こった事件として、風化させてはいけないのは金正男氏暗殺事件だ。

この金正男氏は、2017年2月6日にマレーシアに訪れ、2月8日にリゾート地で有名なランカウイ島で旅行を楽しんでいた。

 

 

しかし、2017年2月13日にマカオに向かうエアアジアの飛行機に乗る為に、クアラルンプール国際空港に来ていた。事件はそのクアラルンプール国際空港の3階出発ホールで起こったのだ。

 

午前9時ごろに金正男氏は、自動チェックインをする為に機械の前へと立った。

その直後、いきなり2人の女性から猛毒の神経剤『VX』を顔に塗られた。

 

金正男氏は、近くにいた空港のフロント受付スタッフに助けを求めて、『誰かに背後から掴みかかられ、液体を顔にかけられた事』『1人の女性が液体の染み込んだ布を顔に被せて来た事』を伝えていた。

 

金正男氏は、その後自ら歩いてKLIA2内の「ムナラ・メディカル・クリニック」に向かい、治療を受けた。治療をした医師によると、この時の金正男氏は大量の汗をかき、顔の痛みを訴えていたという。

 

クリニックに入って間もなく痙攣(けいれん)を起こして意識を失い、口から血や泡を吹いたという。医師も懸命に治療しようと、気管挿管(きかんそうかん)という気道を確保する為や薬剤を投与する為に気管に柔軟なプラスチックチューブを挿入する医療行為を施された。

 

アトロピンやアドレナリンを投与され、口の中の唾液や血液、嘔吐物(おうとぶつ)を吸引して取り除く治療もしました。しかし、空港内の診療所では救命治療ができないと判断され、蘇生装置を顔に取り付けた状態で担架に乗せられ、救急車でプトラジャヤ病院へ搬送されました。

 

残念ながら金正男氏は、救急車の中で心肺停止状態となり、午前11時に病院で死亡がが確認されました。金正男氏は、『キム・チョル』という偽名を使用して旅行していた為に、マレーシア当局が死亡した男性を金正男氏と特定するまでに時間がかかったそうです。

 

金正男氏の残した言葉や医師の報告による遺体の不審な点からマレーシア警察は、殺人容疑で捜査に乗り出しました。

 

2017年2月15日、マレーシア警察は実行犯の1人としてベトナム人の28歳女性を逮捕し、2月16日にインドネシア人の25歳女性が2人目の実行犯として逮捕されました。

 

彼女らの供述により、この事件の黒幕は4人の北朝鮮男性であり、全員が事件当日にマレーシアを出国していました。

 

マレーシア警察は、彼ら4人の身柄を拘束するように国際刑事警察機構(インターポール)をはじめとする外部機関の協力を要請しましたが、4人はすでに北朝鮮に帰国しており、その後北朝鮮当局によって殺されたものと思われます。

 

実行犯の女性2人は、日本のテレビ局に出れるからといたずら企画を信じ込んで実行したようで、インドネシア政府とベトナム政府の助けにより罪が減刑されて、インドネシアの女性は2019年3月に釈放され、ベトナム人女性は2019年5月3日に釈放されました。

 

今もクアラルンプール国際空港は、金正男氏がいた頃の設備が残されています。

あの場所で攻撃され、あのトイレで犯人が手を洗ったのかなというほどに鮮明に思い出せるのです。北朝鮮の犯人が死んだように、暗殺を企てた人も相応の報いを受けるのでしょうね。

 

ちなみに、北朝鮮の人は、特別なビザがない限り、マレーシアに入国する事はできなくなりました。金正男氏は気さくな良い方だったと聞きます。残念ですね……( ;∀;)