「カシャカシャ…(トイレの音)」「ダダダダッ!」

 

猫様がトイレを済ませた後、急にスイッチが入ったかのように走り回り、まるで運動会でも始まったかのようなハイテンションになる。この行動は、多くの飼い主さんが一度は目にする光景ではないでしょうか。この「トイレ後のハイテンション」は、多くの猫様に見られるごく自然な行動です。そして、その裏には単なる「習性」だけでなく、いくつかの興味深い理由が隠されています。

 

毎回ではないんですが、くもは比較的このトイレハイになります。走り回るだけでなく、爪とぎをガリガリとかします。もちも時々このトイレハイになるのですが、今回は、猫様がトイレの後にハイテンションになる理由を徹底解説します。

トイレ後の「ハイテンション」はなぜ起こる?考えられる4つの理由

猫様が排泄を終えた後に走り回る行動は、通称「トイレハイ」や「トイレ後の大運動会」と呼ばれます。この現象には、主に4つの理由が考えられます。

1. 本能と習性:身の安全を確保する行動

猫様は元々、単独で狩りをして暮らす動物です。排泄中は無防備になり、天敵に襲われるリスクが最も高い時間帯でした。そのため、排泄を終えた後は一刻も早くその場を離れ、身の安全を確保する本能が備わっています。

 

また、排泄物には猫様の匂いがついています。この匂いを天敵に察知されないように、匂いの元から素早く遠ざかるという習性もあります。トイレ後のダッシュは、この「安全確保」と「自己の痕跡を消す」という本能的な行動の名残りだと考えられます。

2. 爽快感と開放感:生理的なスッキリ

人間が排便後にスッキリとした気分になるように、猫様もまた生理的な爽快感を感じている可能性があります。特に、少し我慢していたり、便秘気味だったりした場合、排泄がスムーズにできたことに対する開放感がより強く、その喜びを全身で表現しているのかもしれません。

 

これは猫様なりの「あー、スッキリした!」という喜びの表現かもしれません。

3. 神経・生理的な要因:迷走神経の刺激

少し専門的な話になりますが、排便時に「迷走神経」が刺激されることが、興奮状態を引き起こすという説があります。迷走神経は、心臓や消化器など多くの内臓とつながっており、排便時にこの神経が刺激されると、心拍数が上がったり、脳内で快楽物質が分泌されたりすることがあります。

 

この神経的な作用が、猫のテンションを一時的に高め、走り回る行動につながっているという見方です。これは猫様の意思とは関係なく、生理的に引き起こされる反応であるため、飼い主が心配する必要はありません。

4. トイレ環境への満足感:喜びの表現

猫様がトイレの場所や、使っている猫砂、トイレの清潔さに満足している場合、その喜びを全身で表現している可能性も考えられます。

 

「このトイレは最高だ!」「ああ、気持ちよく用を足せた!」

トイレで気持ちよさそうに用を足し、その後走り回っているなら、それは飼い主が用意したトイレ環境が完璧であることの証かもしれません。

行動の裏にある、飼い主が気をつけるべきサイン

トイレ後のダッシュは、多くの場合、猫様にとってポジティブな行動です。しかし、中には健康上の問題やストレスが原因で、同じように走り回っているケースもあります。以下のサインが見られる場合は、注意して観察するようにしましょう。

1. 病気のサイン

トイレ後に急いで走り去る行動は、排泄時に痛みや不快感を感じているサインかもしれません。

 

膀胱炎や尿路結石:排尿時に痛みを感じ、トイレから逃れるために走り回ることがあります。頻繁にトイレに行ったり、血尿が出たりしていないか確認しましょう。


便秘: 排便時に苦痛を感じ、その不快感から走り回ることがあります。


口内炎や歯周病:口の中に痛みがあると、ご飯を食べるのを嫌がるだけでなく、トイレの後の不快感から走り回ることがあります。

 

いつもと違う鳴き声(苦痛を訴えるような声)を上げていたり、トイレに行く回数が増えたり、トイレにいる時間が長くなったりしていないか、日頃から注意深く観察しましょう。

2. ストレスや不満

トイレの不満:猫砂が気に入らない、トイレが汚れている、トイレのサイズが合わないなど、トイレ環境に不満がある場合、そのストレスから走り回ることがあります。


場所の不満:トイレが騒がしい場所や、他のペットに邪魔される場所に置かれている場合、恐怖心から急いでその場を離れようとしているのかもしれません。

愛猫のダッシュを見守るためのポイント

トイレ後のダッシュは、基本的には愛すべき行動です。もし、猫様が元気で食欲もあり、走り回った後に満足そうにしているなら、それは単なる喜びの表現だと考えて良いでしょう。ですが、病気のサインがないか日頃から注意深く観察することが大切です。特に、トイレの回数や量、排泄物の状態、猫様の様子(元気、食欲)に変化がないかチェックしましょう。

まとめ

猫様がトイレ後に走り回る行動は、多くの場合は本能や生理的な爽快感、トイレ環境への満足感からくるものです。健康と幸せの証であり、飼い主としては微笑ましく見守ってあげるだけで大丈夫です。

 

しかし、その行動が病気やストレスからくる不快感からくるものでないか、常に目を光らせておくことも大切です。観察が重要ですね。猫様の行動を深く理解し、「トイレ後の大運動会」がいつまでも続くように、安心できる環境を整えてあげましょう。

 

※この記事は公式ブログの再掲載です。本編は👉こちら

「また少しだけ残してる」

もちらしい愛すべき癖。器にちょっとだけ残ったご飯を見ると、「どうしてだろう?」と思ってしまいます。くも氏は器がピカピカになるまで舐めてくれるのにな。なぜ猫様はご飯を完食せず、ほんの少しだけ残すのでしょうか?何か理由があるのでしょうか。

 

実は、この「ちょこっと残し」には、猫様の習性や心理、さらには健康状態にまつわるいくつかの理由が隠されています。今回は、この理由について深堀してみます。

猫の「ちょこっと残し」はなぜ起こる?その隠された理由

猫様がご飯を少しだけ残す行動にはいくつかの理由が考えられます。

習性と本能の名残り

猫様は元々、単独で狩りをして暮らす動物です。野生の猫は、大きな獲物を捕らえたとしても、一度に全てを食べきることはほとんどありませんでした。残った部分は、後で食べるための「保存食」として隠しておくのが自然な習性だったのです。

 

また、いつでも食事にありつけるという安心感を得るための行動である可能性もあります。器に少しでもご飯が残っている状態は、「まだ食糧がある」という精神的な安定をもたらすと言われています。我が家のもちがご飯を少し残すのは、もちらしい安心感を得るための本能的な行動なのかもしれません。

 食べすぎ防止の自己調節

猫様は、自分の満腹感を非常にうまく自己調節できる動物です。人間のように「もったいないから全部食べる」という概念はなく、お腹がいっぱいになれば、食べるのをぴたりとやめます。

 

器に残ったご飯は、「もうこれ以上は必要ない」という満腹のサイン。食べきる直前にやめるのは、単に「適量」を認識している証拠であり、猫の体にとって健全な行動であると捉えることができます。もちの場合、「もう結構です」という時は砂かけポーズをしてますね(笑)

器や環境への不満

実は、猫様がご飯を残す理由で最も多いのが、器や食事の環境に不満があるケースです。

 

ひげ疲れ: 猫様のひげは非常に敏感なセンサーです。ご飯を食べる際に、器の縁にひげが当たって不快に感じることを「ひげ疲れ」と呼びます。特に器が深かったり、狭かったりすると、奥のご飯を食べたがらず、手前のご飯だけを食べて残してしまうことがあります。


器の素材や匂い:プラスチック製の器は匂いが移りやすく、傷がつくと雑菌が繁殖しやすくなります。猫様は嗅覚が非常に鋭いため、不快な匂いを嫌い、ご飯を避けることがあります。陶器やステンレス製の器に替えることで、改善されることがあります。


食事場所: 猫様は警戒心が強く、食事中は無防備になるため、落ち着いて食事ができる静かな場所を好みます。もし、食事場所が騒がしい場所や、トイレの近く、人の出入りが多い場所にある場合、安心して食事をすることができず、途中で食べるのをやめてしまうことがあります。

もしかして病気?要注意な「ちょこっと残し」のサイン

「ちょこっと残し」は、多くの場合、習性や環境によるものですが、中には病気のサインである可能性も潜んでいます。以下のサインが見られる場合は、注意が必要です。

いつもより残す量が多い:普段は数粒しか残さないけど半分以上残すようになった等の変化の大きさに注目しましょう。
「ちょこっと」が数日続く: たまに少し残す程度なら問題ありませんが、食欲不振が数日続く場合は要注意です。
元気がない、嘔吐や下痢を伴う:ご飯を残すだけでなく、元気がない、隠れてばかりいる、嘔吐や下痢、体重減少などの症状が見られる場合は、すぐに獣医師に相談しましょう。

口内炎や歯周病、腎臓病、甲状腺機能亢進症など、様々な病気が食欲不振を引き起こす可能性があります。特に猫様は病気を隠すのが得意なため、飼い主が日頃から注意深く観察することが非常に重要です。

猫の「ちょこっと残し」の対処法

「ちょこっと残し」は、猫様の習性を理解し、環境を整えることで解決できることがほとんどです。

器と環境を見直してみる

器を替える: ひげが当たらないよう、口が広く浅い器に替えてみましょう。素材は匂いが移りにくい陶器やステンレス製がおすすめです。


食事場所を変える:落ち着いて食事ができるよう、人や他のペットの行き来が少ない、静かで安全な場所に食事場所を移動させてみましょう。

フードの工夫

新鮮なフードを与える:開封済みのドライフードは、時間が経つと風味が落ちたり、酸化したりします。密閉容器に保存し、フードの鮮度を保ちましょう。また、少量ずつ与えることで、毎回新鮮なフードを食べさせてあげることができます。


香りを引き出す:ぬるま湯でフードをふやかしたり、少し温めて香りを引き出すことで、食欲を刺激する効果があります。

無理に食べさせない

食事時間のルールを設ける:残したご飯を無理やり食べさせようとするのは、猫様にストレスを与え、ご飯嫌いにつながる可能性があります。一定時間(例:30分)経っても食べきらない場合は、一旦片付けるというルールを設けることで、「いつでも食べられるわけではない」と学習させることができます。

まとめ

猫様がご飯を少し残す行動は、多くの場合、猫の習性や賢い自己調節能力によるものです。それは、愛すべき個性でもあります。「ちょこっと残し」は悪ではないので、日ごろから様子を注意深く観察し、病気のサインではないことをチェックしてさえすれば矯正したりする必要はないのかなと思います。

 

我が家ではもちの「ちょこっと残し」(ウェットを食べる時だけするのですが)をくも氏にあげて、器をピカピカに舐めあげてもらうので特に問題視してませんが、これは注意深く観察した結果たどり着いた結論です。猫様それぞれの個性や習性を知ることで、それぞれに合った対処をしてあげてくださいね。

 

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