校舎の中はまあ当然というか暗く静まり返っていた。明日から夏休みだというのにこんな遅くまで学校に残ってるやつなんているわけがない。とはいえここに残ってる人間が2人いるわけだが。まだ比較的早い時間帯とはいえ夜の学校というものは決していいものではない。早々に切り上げたいものだ。
「ちょっと、早くしなさいよ。っていうかなんであたしの方が先に歩ってんのよ。だいたいこういうときは男の方が前を歩くもんでしょ。」
人を強引に突き合わせておいて、なんとまあよくこんな台詞が言えるもんだ。そんなことを思っている俺の後ろに回り背中を押される。
「もたもたしてないで、とっとと行きましょ。」
渋々歩く校舎の中。いつもと同じ風景のはずなのにそこはまるで別世界だった。月明かりの照らされた廊下に俺たち2人だけの足音が響きわたる。これが肝試しならそろそろこんにゃくの一つも飛んできそうなものだが。
「ほら、着いたぞ。」
『3-B』、つまりは俺たちのクラスの教室だ。さっきまで俺はこの教室で補修を受けていたわけだが、当然今は誰もいない。
「なによアンタ、教室に用があったの?」
特に部活も何もやっていない俺が、他にどこに行くあてがあるというんだ。不満そうな彼女を尻目に俺は自分の机をあさり始めた。しかし机の中は何もない空っぽのままだった。するとノートはどこにいったんだろう。
「もしかして、アンタの探してるものってコレ?」
教卓の上に腰かけた彼女が手に持っていたもの、それは間違いない、俺の探しているノートだった。いかん、こいつにだけはこのノートを見られるわけにはいかない。俺は平静を装いつつノートを返してもらおうと彼女に歩み寄った。
「ふーん、なんのノートなのコレ。」
パラパラとノートをめくる彼女。まずい!俺は反射的にダッシュで彼女からノートを奪おうとした。しかし勢い余って教卓ごと彼女に突進してしまった。そのまま二人で床に倒れこむ。
「いたたた…。ちょっともう何やってんのよ!」
彼女に覆いかぶさるように倒れた俺。起き上がろうと床に手をついたつもりが、なんでだろう、何か柔らかいものがそこにはあった。自分の右手に目をやると、そこには彼女の左胸。俗に言う「お約束」だ。当然ここも「お約束」のごとく、顔を真っ赤にして罵声を飛ばしながら怒り狂う彼女の右ストレートが俺の顔面に…。
…飛んでこなかった。意外にも彼女は照れた表情を浮かべながらジッとしている。
「……バカ…。あんまりジロジロ見ないでよ…。」
なんなんだこの展開は。あまりにも突然のありえないと思われたその行動に俺は動けないでいた。そして彼女は瞳を閉じ俺の方に顔を向ける。俺はと言うと彼女のその表情に見とれつつ、そして彼女の唇に……。
→TO BE CONTINUED…
はい今日はここまでwww
意外な展開に自分でもびっくりな猫のパパ