器の小さい男の話 高校時代編 No4 | 猫のパパのブログ

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読むと人生の無駄遣いになる
内容ばかりですが(^_^;)
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それからというもの、木村は積極的に永嶋に話しかけた。どこの中学だった?1年の時は何組だった?どこに住んでるの?何月生まれ?何座?…まあ、きりがないほど聞きまくった。そして蛯原に会ってはそれはもう自分の女のごとく自慢げに話していた。

「確かにかわいい子だよね。」

蛯原も永嶋のことは知っていた。というよりは木村がこれほど話をしてくる子だ。次の日には木村のクラスに遊びにくるついでにチェックしていた。

ちなみに蛯原は意外と初対面の女の子にはもてる。女の子が嫌いなわけではない。むしろ大好きだ。しかし、まったくといっていいほど進展がなく終わってしまうのである。ある時など、女の子の方からディズニーランドに行こうと誘われ二人きりで行ったのだが、アトラクションの待ち時間で「長いね」の一言以外には会話なし。おみやげを買うときも「俺、外で待ってるね。」と言いはなち、帰りの電車も「俺、駅ここだから、じゃあ。」とそのまま帰宅。たった一日で恋する乙女の心をへし折ってしまう、木村とは別の意味で女性に縁のない男であった。

そしてその年の夏休み、木村はある計画を立てた。「みんなで海に行こう。」、もちろん「みんな」には永嶋も含まれる。

「永嶋さん、夏休みとかみんなで海に行かない?」

木村が誘うと永嶋はいつものとろけた笑顔で

「みんなでかぁ。いいね、行こう行こう!誰誘うの?」

木村は、誘いたいやつはいっぱいいるんだけど、あまり人数が多いとまとめるのが大変だから親友の蛯原だけを誘うということで(と言っても蛯原以外に友達と呼べるやつもいないのだが。)、永嶋も、それじゃあ私も石川ちゃんだけ誘うね。ということで、4人で行くことになった。

やった!木村のテンションは最高潮に達していた。考えることはやはり永嶋の水着姿である。その姿を目に焼き付けて夜のオカズにしよう、いやそれよりも素直にカメラを持っていって写真を撮れば、でも写真を撮ることで永嶋から変なことに使うんじゃないかって怪しまれないだろうか、そうだ内緒で焼き増しをして撮った写真は永嶋に渡せば俺はその写真を持っていないことになるから怪しまれない、よしこれでいこう!…普通そこまで考える女の子もそうはいないと思うのだが、つくづく小さい男である…。そして当日がやってきた。

つづく