『言語学バーリ・トゥード』(川添愛著)
副題が「AIは『絶対に押すなよ』を理解できるか」。
ダチョウ倶楽部のネタを含め、抱腹絶倒のネタが満載の言語学エッセイ。

読み終わって間もなく上島竜兵さんの訃報を目にしたのは衝撃だった。
キムタクドラマ「教場」中の言語学の怖い応用、
ユーミンの歌のタイトルが「恋人はサンタクロース」ではなくて
「恋人がサンタクロース」である理由、など笑いながら、ちょっと知識も増えて
言葉にまつわる疑問もちょっと解消。楽しかったのでメモも取ってしまおうなど
読後も楽しんでいたときに。

「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」は、言っている言葉の意味と伝えたいこと(意図)が違っている例で、押さずにいると、押すなと言っていた本人が「何で押さないんだヨ」と切れるまでがお約束の芸。

AIが本当の意図を察して相手の望む結果を出すためには何が必要か。
語彙、文の構造の問題、さまざまな壁を乗り越えて、AIは「意味」を理解する。
でも、それだけでは足りない。「意図を特定するための手がかりが
言葉そのものの意味の中に入っていない」から。

あいまいな文から相手の意図を探り当てるための文化知識、常識、相手の癖、文脈など、

膨大な知識の中からほとんど瞬時に判断できる人間はすごい(私のように苦手な人もいるけど)。

訃報の後、家族でダチョウ倶楽部のネタを挙げていったら、「それあった、あった」と
盛り上がり、やがてしんみりした。上島さん、こんな幕切れ、聞いてないよぉ。