そして、数日後……
俺は退院した。
と言っても暫くは通院しなくちゃいけないけど。
刺されるって思っていた以上に痛いね。
もう二度と経験したくないや……
って言いたけれど俺が刺されるのって俺の記憶が確かなら二度目か……
一回目は興奮して興奮していたので感じなかったけど二度目のは、生きていたから痛かったな。
生きるって痛いことなんだな。
つくづく思うよ。
何はともあれ今日から学校だ。
俺は、知り合いに誰とも合うこと無く教室までついた。
俺の机の上には花瓶が、置かれていた。
花瓶は、なかなか豪華な花瓶で高いんじゃないか?
イジメかと思ったけれどイジメにしては花瓶は高いし花も薔薇だ。
しかも、ピンクの薔薇だ。
諭吉が、軽く飛んで行くようなそんな本数……
俺が固まっていると突然黒板が回転する。
俺は、その音に驚き体をビクつかせる。
黒板にはこう書かれていた。
【斉藤君退院おめでとー】
そして、それと同時にクラッカーが鳴る。
再び俺はその音に驚く。
教室の扉が開き拍手と共にクラスメイトたちが教室に入ってくる。
「斎藤君誕生日おめでとー」
そして、俺は言わなければならないことをあえて先に言う。
「ありがとう。
でも、名前の漢字が間違えているよ……」
俺が、そう言うと清空が現れる。
「そうなの?」
まさか、清空が間違えたのか?
「まぁ、そんな小さなことは気にしないでいいんじゃない?」
遥ちゃんが、そう言うとクラスメイトが笑う。
「いや、幼馴染みの清空に間違わられるのは流石にショック……」
「幼馴染みじゃないよ、フィアンセだよ?」
清空が照れもしないでしれっと言う。
フィアンセなのならなおのこと間違えるなと思ったけれどそれは言わないことにした。
清空は、俺のフィアンセじゃないしね。
「まぁ、なにはともあれおめでとう」
恋次君が、そう言って静かに笑う。
「ありがとう」
少し照れるけどこういうのも悪くないかな……
俺は、そう思うことにした。
そして、色々あったけど高校を卒業しそれぞれの夢を追う事になった。
恋次君は、プロボクサーへ……
今では、世界チャンピオンになっている。
遥ちゃんは、お父さんが務める警察病院で看護師をしている。
美人で性格もそんなに悪くないので医師や同僚、患者さんから物凄く人気者らしい。
清空は、幼稚園の先生をしている。
毎日忙しいのか、最近では全く連絡をとれていない。
清空だけじゃなく恋次君とも遥ちゃんとも連絡はとれていない。
俺は、なにをしているかというと……
市役所で公務員をしている。
納税課に勤務し、税金を滞納している人に頭を下げて税金を収めてもらう。
これが、俺の仕事だ……
気づけば歳は、27歳になる。
もうすぐ28歳だ……
そんな時、1通のハガキが俺のもとに届く。
高校の同窓会のハガキだ。
とりあえず、休みの日は暇なので参加することにした。
清空や遥ちゃん、元気にしているかな?
恋次君は、忙しいから来れないだろうな。
俺は、そんなことを思いながら参加に丸をつけてハガキをポストに入れた。