スローライフ~第八章:自由な君へ…… 03 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

 僕たちは、そのまま宝石のパスタに向かった。
「いらっしゃ……」
 店員さん(美樹さん)が、一瞬固まる。
「美樹……?」
「あ、滋?どうしてここに?」
「それは、こっちのセリフだ……」
 滋くんが、真剣な目で美樹さんの方を見てる。
「ちょっとお金が欲しくて……」
「親父さんは、知っているのか?」
「うんん。
 っていうか遊ぶ金欲しさに働いて何が悪いのよ!」
「あー。
 ごめん、知ってるかと思って滋くんを連れて来ちゃった……」
「うんん。
 気にしないで」
 美樹さんは、静かにため息をついた。
「自由、MAXポテトーとお子さまセット!」
 自由が、そう言うと美樹さんがニッコリと笑う。
「かしこまりました。
 では、席に案内します」
 美樹さんが、席に案内してくれる。
 そして、お子さまセット3つとハンバーグセット3つとドリンクバー6つを頼んだ。
「おもちゃ。おもちゃ。おもちゃ」
 自由が、楽しそうに笑う。
「自由は、いつも元気だね」
 僕が、そう言うと自由は笑顔で答える。
「それが取り柄です」
 滋くんは、静かに美樹さんを目で追っている。
 気になるんだろうね。
「気になるのー?」
 翔太くんママが滋くんに尋ねる。
「いや……まぁ、なんだ。
 アイツが、バイトするようなキャラじゃないからな」
「そう?
 結構しっかりしていると思うよ?」
 僕が、そう言うと滋くんはため息をついた。
「桜庭は、ボクシングをしながらゲーセンでバイト。
 上沼は、アイドルを目指してボイトレいながらバイト。
 美樹は、理由はわからないがファミレスでバイト。
 俺は、なんにもできてないな……」
「そうでもないよ?」
「滋くんだって空手と子守頑張ってるじゃん?」
「俺のところは、親ふたりとも仕事人間だからな。
 愛の面倒を見るのは俺しかいない。
 それに結構楽しいんだぞ?
 入退院は繰り返しているが、俺は元気をもらっている」
「十分立派だよ」
 僕が、そう言うと滋くんは寂しそうに笑った。