僕たちは、そのまま宝石のパスタに向かった。
「いらっしゃ……」
店員さん(美樹さん)が、一瞬固まる。
「美樹……?」
「あ、滋?どうしてここに?」
「それは、こっちのセリフだ……」
滋くんが、真剣な目で美樹さんの方を見てる。
「ちょっとお金が欲しくて……」
「親父さんは、知っているのか?」
「うんん。
っていうか遊ぶ金欲しさに働いて何が悪いのよ!」
「あー。
ごめん、知ってるかと思って滋くんを連れて来ちゃった……」
「うんん。
気にしないで」
美樹さんは、静かにため息をついた。
「自由、MAXポテトーとお子さまセット!」
自由が、そう言うと美樹さんがニッコリと笑う。
「かしこまりました。
では、席に案内します」
美樹さんが、席に案内してくれる。
そして、お子さまセット3つとハンバーグセット3つとドリンクバー6つを頼んだ。
「おもちゃ。おもちゃ。おもちゃ」
自由が、楽しそうに笑う。
「自由は、いつも元気だね」
僕が、そう言うと自由は笑顔で答える。
「それが取り柄です」
滋くんは、静かに美樹さんを目で追っている。
気になるんだろうね。
「気になるのー?」
翔太くんママが滋くんに尋ねる。
「いや……まぁ、なんだ。
アイツが、バイトするようなキャラじゃないからな」
「そう?
結構しっかりしていると思うよ?」
僕が、そう言うと滋くんはため息をついた。
「桜庭は、ボクシングをしながらゲーセンでバイト。
上沼は、アイドルを目指してボイトレいながらバイト。
美樹は、理由はわからないがファミレスでバイト。
俺は、なんにもできてないな……」
「そうでもないよ?」
「滋くんだって空手と子守頑張ってるじゃん?」
「俺のところは、親ふたりとも仕事人間だからな。
愛の面倒を見るのは俺しかいない。
それに結構楽しいんだぞ?
入退院は繰り返しているが、俺は元気をもらっている」
「十分立派だよ」
僕が、そう言うと滋くんは寂しそうに笑った。