スローライフ~第八章:自由な君へ…… 01 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

 それから数日後……
 仕事が終わり、自由を迎えに行こうとした時。
 僕は、見知った女の人を見てしまった。
 その女の人は、僕と同じくらいの歳の男の人と手を繋ぎ体をベッタリとくっつけている。
 僕は、思わずその女の人の名前を呼んでしまった。
「空?」
 その女の人の名前は、小野寺 空。
 現在失踪中の僕の妻。
 空は、一瞬足を止め僕の方を見る。
 そして、一瞬固まる。
「空、どうかしたか?」
 男の人が、空の方を見る。
「うんん。
 なんでもない……」
 空は、そう言って男の人と歩きそのまま何処かへ行ってしまった。
 何も出来なかった。
 男の人と一緒にいた。
 僕は、その男の人を知っている。
 杉村 カヲル。
 僕の小学校から高校まで同級生であり空の元カレだ。
 僕とカヲルくんとは、そんなに仲はよくはなかった。
 そっか……
 関係、まだ続いていたんだ……
 僕は、少しショックを受けた。
 もしかして、僕の元を去った理由はカオルくんなのだろうか?
 僕は、その場で暫く考えこんでしまった。
「小野寺……?」
 滋くんが、そう言って現れる。
 手には愛ちゃんの手が握られている。
「あ、滋くん。
 今日は愛ちゃんも一緒なんだ?」
「ああ。
 今日は、一時退院の日なんだ。
 で、こんな時間にひとりか?
 自由ちゃんはどうした?」
「こんな時間?」
 僕は、ゆっくりと腕時計に目を向けた。
 時計の針は、19時30分。
「あ、しまった。
 早く迎えに行かなくちゃ……!」
「なら、俺も一緒に行ってもいか?」
「え?」
「ちょうど愛と自由ちゃんの話をしていたところなんだ」
「そっか……
 じゃ、愛ちゃん久しぶりに自由と遊んでくれるかな?」
「うん!
 私、自由ちゃんと一緒に遊びたい!」
 愛ちゃんは、嬉しそうに笑った。