スローライフ~第七章:自由の世界 09 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

 僕と自由と翔太くんとこの母子は、10時くらいに公園に向かった。
 すると既にそこには、海夜さんがいた。
「あ、海夜ねーちゃんだー」
 自由が、僕から手を離し走る。
 そして、コケる。
「あ……コケた」
 海夜さんが、駆け寄る。
「自由大丈夫?」
 僕は、そう言って自由に手を差し伸べると自由はニッコリと笑う。
「自由、泣かないよ?
 偉い?」
「偉いぞ、自由」
 僕は、そう言って自由の頭を撫でる。
「相変わらず自由ちゃんには甘々やなぁー」
 海夜ちゃんが、ため息混じりにそう言った。
 すると百道くんが、ソフトクリームを2つ持ってやってくる。
「お、小野寺?
 もう来たのか?」
 百道くんが、驚いた表情で僕たちの方を見ている。
「30分前行動だよ」
「1時間前やんけ!」
 海夜さんが、鋭いツッコミを入れる。


 結局、百道くんが持ってきたソフトクリームは、自由と海夜さんが食べることになった。
「百道くん、ごめんね。
 君のソフトクリームなのに……」
 僕は、小さく謝った。
「気にするなって」
 百道くんがクスリと笑う。
「なんだ?
 お前らもう来ているのか?」
 そう言って現れたのは滋くんと美樹さんだった。
「あ……
 私たちが一番最後?」
 静香さんと透くんが現れる。
「とりあえず、全員揃ったようだな。
 屋台のおやぢには、話をしてある。
 存分にたこ焼きを食べてくれ」
 滋くんが、そう言って案内してくれたのは、公園の隅にあるたこ焼き屋の屋台だった。
「ここのたこ焼き激ヤバだから」
 美樹さんが、自信満々にそう言った。
「たこ焼き美味しい!」
 翔太くんが一番最初に口に運んだ。
「あらあらあらあら。
 ホント、美味しいわねぇ」
 翔太くんママも絶品だ。
「カリカリで中とろり!
 もう最高のたこ焼き屋でー」
 海夜さんも褒めている。
 ただひとり自由だけは、食べれないでいた。
「自由どうした?」
「自由、冷たいたこ焼きが好き」
 自由が、そう言うと滋くんが自由の目線まで肩を落として尋ねた。
「口に合わなかったか?」
「自由のお口にゃーにゃーなの」
「にゃーにゃー」
「自由は、にゃーにゃーの舌を持つ女なの」
「ああ。なるほどそういうことか」
 茂くんには伝わったらしい。
 そう、自由は猫舌なのだ。
 だから、熱いものは実は苦手だったりもする。
「この子って、もしかして小野寺先生のお子さんですか?」
 透くんが、そう尋ねると僕はうなずいた。
「うん。
 そうだよ」
「綺麗な奥さんにかわいいお子さんがふたり……
 リア充ってやつですか?」
 静香さんが、そう言うと翔太くんママが笑う。
「私、自由ちゃんパパの奥さんじゃないよ」
「あ、失礼しました……」
 静香さんが、小さく謝る。
「大丈夫。
 よくあることだから……」
 翔太くんママがクスリと笑った。
 僕たちは、このたこ焼きパーティーを昼すぎまで楽しんだ。