そして、夜の10時を過ぎた。
自由と翔太くんは眠っている。
「さて、そろそろ帰るか……」
百道くんがそう言うと翔太くんママが、驚く。
「あら、ヤダ。
もうこんな時間なのね」
「道子さん、とんかつごちそうさまでした」
百道くんが、頭を下げる。
「ああ、美味しかった。
道子さんごちそうさま」
滋くんもお礼を言った。
「なんか意外だな」
僕がそう言うと海夜さんが、首を傾げる。
「なにがや?」
「百道くんや滋くん。
思ったより礼儀正しい」
「武道は、礼に始まり礼に終わるからな。
これくらいは出来るさ」
滋くんがそう言うと百道くんもうなずく。
「そっか、ふたりとも偉いぞ!」
僕が、そう言ったところで自由がまぶたをこすり僕の方に来る。
「パパ、帰るの?」
「うん。
もう夜も遅いしね」
「そっか」
自由は、ゆっくりと僕の方に歩み寄る。
「パパ、おんぶ……」
「はいはい」
僕は、そう言って自由を背をう。
「こうやってみると……
親子って感じだね」
美樹さんがそう言うと僕は少し嬉しくなった。
「そっかな?」
「せやな。
顔は似てへんけどな。
性格はなんかそっくりや」
「そう?」
「意地が悪いところもな」
百道くんが笑った。
「え?僕って意地悪い?」
「自覚ないんか?」
海夜さんが笑う。
「でも、優しいとろこもありますよ?」
翔太くんママが、そう言ってくれる。
「基本、小野寺って意地悪だよね。
でも、ノリがいいし遊んでくれるところは、他の教師とかとは違うかな」
美樹さんが、そう言って苦笑いを浮かべた。
「え?教師は生徒と遊ばないの?」
「基本上から目線だよな。
まぁ、小野寺も上から目線だけど、誰に対しても上から目線って感じだけどな」
百道くんが、そう言ってケラケラ笑う。
「パパー
自由、おねむー」
自由が、僕の耳元で小さく呟く。
「ああ。そうだね。
みんな、そろそろ帰ろうか」
「ああ。
そうだな」
百道くんが、そう言うと僕たちは翔太くんの家を跡にした。