「とんかつできたよー」
自由が、そう言ってとんかつをゆっくりと運んでくる。
「危ないぞ」
滋くんがそう言って自由からとんかつを載せているお皿をそっと受け取る。
「滋くん優しいね」
僕が、そう言うと滋くんは照れ笑いを浮かべる。
「別にそんなんじゃねぇよ。
落としたら折角の肉が、無駄になるだろうが……
そんなこともわからないのか、バーカ」
するとそれを聞いた自由が、滋くんに反論する。
「パパが、バカじゃなもん」
「ん?」
滋くんは、自由の方を見る。
「バカちゃいまんねんパーでんねん」
それを聞いた滋君はため息をつく。
「それ、どこで覚えた?」
「海夜おねーちゃんに教えてもらったー」
「アイツ。
ろくなことを教えないな……」
「ウチ、そんなん教えてへんで!
自由、もう忘れたんか?
アホかいな」
海夜さんは、そう言って千切りにしたキャベツを盛ったお皿を持ってくる。
「あ……
『アホちゃいまんねんパーでんねん』だ!」
「そうや!
自由ちゃん、100点満点やな!」
海夜さんが、そう言って笑う。
「だから、コントやめーの。
とんかつ冷める前に食べなってば」
美樹さんが、ご飯を盛ったお茶碗を4つ持ってきた。
「ん?お前らは、まだ食べないのかよ?」
百道くんがそう言うと海夜さんが答える。
「ウチらは、まだ揚げてないとんかつがあるからな。
それをあげ終えてから食べるねん」
「じゃ、俺は待つ」
「いや、食べ―てーな。
アツアツさくさくおいしいでー」
海夜さんがそう言うと自由が真似をする。
「おいいしでー」
自由は海夜さんのことが気に入ったようだ。