「んじゃ、俺は海夜を家まで送っていく」
百道くんが、そう言うと滋くんが続けていった。
「では、俺が美樹を送って行こう」
「え?
全員、僕が家まで送るよ?」
僕がそう言うと滋くんがため息混じりに答える。
「自由はどうするんだ……?
ずっとその体制じゃ自由もつらいだろうに……」
「でも……」
「気にするなって。
ちゃんと届けるから」
百道くんが、そう言って笑う。
「そこは信じるけど。
途中で不良に絡まれたら……」
「負けると思うか?」
滋くんが僕の方を見る。
「上には上がいるからね……」
「俺らも地元では、負け知らずの不良だぞ?」
百道くんが、苦笑いを浮かべる。
「まて『ら』とはなんだ?
俺は不良じゃないぞ」
滋くんが百道くんを睨む。
「そうか?
結構、小野寺にも絡んでいるじゃないか?」
「それは……そうだが……」
滋くんが口ごもる。
「まぁ、そっちも大丈夫だと思いたいけれど……」
僕はそう言って歩いていると僕は柄の悪そうな大学生っぽい人にぶつかる。
「あ……すみません」
僕は、小さく謝る。
「ああん?
人にぶつかっていて『すみません』だけじゃないだろうが?」
「え?」
柄の悪そうな大学生は、数人で僕の周りを囲む。
「……金だよ、金!
黙って金出せよ!」
「小野寺手伝おうか?」
百道くんが、声をかけてくれる。
だけど、僕は首を振った。
「大丈夫だよ。
この程度の人なら僕にでも……」
「ガキを背負ったままのお前に何が出来る?」
滋くんが心配そうに声をかけてくれる。
「自由ちゃんだけでもあずかろか?」
海夜さんが、そう言ってくれて美樹さんが携帯をいじっている。
そして、「もしもし警察ですか?」と警察に電話をかける。
うん。
みんないい子だ。
「はぁ?警察?
俺たち何か悪い子としたー?」
大学生のひとりが、美樹さんの腕を掴んだ。