――3月
僕たちは今日も歌う。
誰かの幸せを祈って……
僕たちは歩む。
誰かの幸せを願って……
右へ左へまっすぐと……
僕らは歩く。
先にあるのはなんなのか……
それは、誰にもわからない。
めざましの音が鳴り響く。
僕は、目覚ましに手を伸ばす。
柔らかい感触が僕の手を刺激する。
「まだ早いですよ」
川名さんが、照れた声で言う。
「あ、ごめん」
僕は小さく謝る。
「毎朝、わざとですか?」
「さぁ……」
僕は、そう言って川名さんの手を引っ張りベッドの中に入れる。
「制服が皺になりますから……」
川名さんが、ちょっと困った声でそう言った。
僕は、ニッコリと笑ってこう言った。
「だって暖かいんだもん」
「じゃ、少しだけですよ?」
「うん」
僕は、暫く川名さんの温もりを感じ癒やされた。
そして、僕たちは手をつないで学校に向かった。
「相変わらず仲がいいわねぇ」
教室についた僕たちに宮崎さんが、そう言ってため息をつく。
「仲良き事は美しき哉だよ」
僕がそう言うと宮崎さんがため息をつく。
「はいはい。
ごちそうさま。
それはそうと練習してるでしょうね?」
「うん。
僕と川名さんは毎晩してるよ」
「ならいいけど……
葉月先輩には内緒だからバレないでよ?」
「わかってるよ。
絶対にバレないようにする。
だってサプライズライブだもんね」
「って、口に出して言わないでよ!」
宮崎さんが、僕の口を両手で塞ぐ。
「私と一さんの方はもうバッチリです。
峰子さんと蜜柑ちゃんの方はどうですか?」
「バッチリよ。
近いうちに4人でも合わせましょ」
「うん」
僕は、宮崎さんの腕から逃れると小さくうなずいた。