ジンクス∞漁猫~最終章:TRY AGAIN04 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

――3月

 僕たちは今日も歌う。
 誰かの幸せを祈って……
 僕たちは歩む。
 誰かの幸せを願って……
 右へ左へまっすぐと……
 僕らは歩く。
 先にあるのはなんなのか……
 それは、誰にもわからない。

 めざましの音が鳴り響く。
 僕は、目覚ましに手を伸ばす。
 柔らかい感触が僕の手を刺激する。
「まだ早いですよ」
 川名さんが、照れた声で言う。
「あ、ごめん」
 僕は小さく謝る。
「毎朝、わざとですか?」
「さぁ……」
 僕は、そう言って川名さんの手を引っ張りベッドの中に入れる。
「制服が皺になりますから……」
 川名さんが、ちょっと困った声でそう言った。
 僕は、ニッコリと笑ってこう言った。
「だって暖かいんだもん」
「じゃ、少しだけですよ?」
「うん」
 僕は、暫く川名さんの温もりを感じ癒やされた。

 そして、僕たちは手をつないで学校に向かった。
「相変わらず仲がいいわねぇ」
 教室についた僕たちに宮崎さんが、そう言ってため息をつく。
「仲良き事は美しき哉だよ」
 僕がそう言うと宮崎さんがため息をつく。
「はいはい。
 ごちそうさま。
 それはそうと練習してるでしょうね?」
「うん。
 僕と川名さんは毎晩してるよ」
「ならいいけど……
 葉月先輩には内緒だからバレないでよ?」
「わかってるよ。
 絶対にバレないようにする。
 だってサプライズライブだもんね」
「って、口に出して言わないでよ!」
 宮崎さんが、僕の口を両手で塞ぐ。
「私と一さんの方はもうバッチリです。
 峰子さんと蜜柑ちゃんの方はどうですか?」
「バッチリよ。
 近いうちに4人でも合わせましょ」
「うん」
 僕は、宮崎さんの腕から逃れると小さくうなずいた。