ジンクス∞漁猫~最終章:TRY AGAIN03 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

「それは、えっと……」
 川名さんが困った顔をする。
 ってか、困るのか。
 これは喜んでいいのだろうか?
 それとも悪い意味なのだろうか?
 それを見かねた宮崎さんが、僕の頭をドラムスティックで軽く叩く。
「貴方まで困った顔をしてどうするのよ?
 男はきっぱりと決めないと!」
「決めるって何を?」
「本気で言ってます?」
 蜜柑ちゃんが、呆れた顔で僕の方を見る。
「え?」
 みんなが何を言いたいのかわかる。
 だけど……僕にはまだ勇気はない。
「男はドカンと!」
 葉月先輩の目も真剣だ。
 このタイミングなのかな?
 本当にいいのかな?
 川名さんの目もどこか真剣だ。
 なら、決めよう。
 今なのなら今決めよう。
「川名さん」
「はい」
 僕の鼓動が早くなる。
「好きです」
「はい」
 返事されちゃった。
 これってOKってことなのかな?
 それともスルーされたってこと?
 そんなことを思っていると宮崎さんが言葉を放つ。
「はぁ。
 好きだからどうして欲しいか言わないと……」
「あ、付き合ってください」
「……はい!」
「え?」
「一さんとお付き合いします」
「いいの?」
「ダメ……なのですか?」
 川名さんが悲しそうな表情をみせた。
「ダメじゃないです!
 お付き合いしてください!
 何処へでもついていきます」
「おててつないで?」
 川名さんが手を出す。
「う、うん」
 そして、僕はその手を握る。
 ただそれだけなのに幸せになれた気がした。