そして、僕たちの歌は終わった。
歌は大成功と言えた。
患者さんをメインに歌ったのだけど……
通りすがりの人も集まってくれて凄く嬉しかった。
川名さんのボーカル。
宮崎さんのドラム。
葉月先輩のキーボード。
蜜柑ちゃんのベース。
そして僕のギター。
静まり返った世界に川名さんの歌声だけが響く。
そう……僕たちは時を制したんだ。
そうして僕たち漁猫は始まったのだ。
「ふふふ……
これってお金を取れば儲かるんじゃないかな？」
葉月先輩の黒い声が聞こえたけれど僕は聞こえなかったことにした。
「なんだろう、斉藤くんありがとう」
宮崎さんが、控室で僕にお礼を言った。
「え？どうして？」
「とても気持ちよかった」
「そう。
峰子ちゃんも目覚めたのね……」
葉月先輩の眼が光る。
「へ？」
「大人になったってことだよ」
葉月先輩が宮崎さんに意味不明なことを言う。
「歌と大人とどういう関係があるんですか？」
宮崎さんが葉月先輩に尋ねる。
「つまりこういうことよ！」
葉月先輩が、そう言って宮崎さんの胸を揉む。
葉月先輩、テンションが高いな……
よっぽど軽音部に後輩ができたことが嬉しいんだろう。
ずっとバンドを組みたいって言っていたもんね。
「楽しそうですね」
川名さんが、優しく呟く。
「うん。
葉月先輩、ずっとバンドを作りたいって言っていたんだ」
「葉月先輩のことじゃありませんよ。
一さんのことです」
「え？」
「楽しくないですか？」
「楽しいよ」
「よかったです」
「あ、なんか輪に入り損なった？」
蜜柑ちゃんが、肩を落としてそう言うと葉月先輩の手は蜜柑ちゃんに向かった。
「ふふふ……
蜜柑ちゃん貴方の胸も私のものよ？」
葉月先輩はそう言って蜜柑ちゃんの胸を揉む。
「あ……ダメですよ」
蜜柑ちゃんが小さく吐息を漏らす。
「この手の中にすっぽりと収まるサイズ……
蜜柑ちゃん！貴方はペチャパイね！」
「そんなの言わないでくださいよ」
「ふふふ……
ペチャパイそれはロマン。
ペチャパイそれは貴方専用！
蜜柑ちゃんにとって貴方は誰？」
葉月先輩は、蜜柑ちゃんの胸をもんで揉みまくる。
「一先輩……
見てないで助けて下さいよー」
蜜柑ちゃんがつぶらな瞳で僕に助けを求めた。