十五が、ボロボロになりながらも走って亜金といずみを先導して無がいるところに案内した。
扉を開けると、クレイジー・クレイジーが鼻歌を歌っていた。
その後ろでバビロンが、退屈そうに欠伸をしていた。
その前では、タナトスとレテが……
後藤と無が、殴り合いをしていた。
「あら?
亜金じゃない?」
クレイジー・クレイジーが、亜金に気づくと嬉しそうに笑う。
「本当ですわね」
バビロンが、そう言っていずみを見る。
「バビロン!
クレイジー・クレイジー!
相変わらず趣味が悪ね!」
「あら?
貴方、そっち側に着いたの?」
いずみは、何も答えない。
「いずみは、負けて泣いているハイジの慰み者でいいんじゃないですの?
アイツ、前からいずみのことを犯したがっていたし……」
バビロンが、そう言って扇子を口元に当てる。
「それ、明暗ね!」
クレイジー・クレイジーが、笑う。
「では、私がいずみを……」
バビロンも、笑う。
「私が、亜金を……」
クレイジー・クレイジーが、口を大きく開ける。
「では、行きますわよ!」
バビロンが、いずみに向かう。
クレイジー・クレイジーが、歌う。
「ララララー」
しかし、亜金はクレイジー・クレイジーを操れない。
「あれ?おかしいわね。
私の歌が効かないの?
もう一度……
ルルルルー」
亜金が、クレイジー・クレイジーを睨む。
「うるさい!
雑音!」
亜金が、一喝する。
「な、なんですって!」
クレイジー・クレイジーが、その言葉に感情をあらわにした。
しかし、その感情によりクレイジー・クレイジーの歌が止む。
無たちの動きが止まる。
そして、無たちが一斉にクレイジー・クレイジーを睨む。
「もう一度歌を聞かせば……」
クレイジー・クレイジーが、再び歌おうとした。
その時!天井から刀を構えた少女がクレイジー・クレイジーの背中に斬撃を与えた。
「玉藻?」
亜金は、目を丸くさせて驚く。
「探したぞ。亜金!
全くもってみんなで迷子になるとはな嘆かわしい……」
玉藻が、ため息をついた。