この子13~第九章:闇を喰らう02 | ニート脱出大作戦β

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~ニートから抜け出す108の方法


夜が来る。
病院の夜と言うモノは不気味なくらい静かだ。
静かなる廊下を静かなる足音が近づく。
亜金だけが、その足音に気づいていた。
亜金はゆっくりと体を起こす。


「亜金、迎えに来た」


玉藻が、亜金の方を見て言った。


「向かえ?」

「道長様が、お前の身を案じている」

「自分の身じゃないの?」

「……お前は自覚が足りない。
 お前は道長様に生かされているってことを……」

「わかってないのは道長さんの方だよ。
 俺が生きるのも死ぬのも俺の自由でしょ?」

「違う。
 お前が死んでも新しくお前を作れば済む話だ。
 だけどお前のかわりはお前しかいない」

「難し言い回しをするね」

「その気になれば、道長様はなんのためらいもなくお前を殺すだろう」

「俺の不食が、無ければ道長さんの不老不死の研究は進まないよ」

「道長様ならお前を殺してお前の遺伝子からクローンを作ることだってできる。
 これがどういう意味かわかるだろう?」

「俺は簡単に殺されない。
 死ねない体にしたのは、どっち?」


亜金が、冷たい目で玉藻に言った。


「亜金……
 一緒に来てくれないか?」

「嫌だね」


そう言う亜金に玉藻は悲しい表情を浮かべた。


「……僕も行かなくていいと思う」


子供の声が2人の耳に届く。
亜金と玉藻は、その声の主の方を見る。
13が、静かにリンゴをかじっていた。


「十三君?」

「13……」


亜金は、目を丸くさせ驚き玉藻は目を細くして13の方を見る。


「サーティン?」


亜金は、玉藻の方を見る。


「……コイツの名前は、サーティン。
 美神 十三ではない……
 殺し屋キャット。
 13だ……」

「ええ……?
 13って猫目で押さなくて銀髪に赤い瞳が特徴なんだよね?」


亜金は、そう言って13の方を見る。


「ぴったりだろう?」


玉藻がそう言うと13が頷く。


「そうだよ。
 僕は、13だよ。
 亜金、君を護るために来た殺し屋さ……」


13の姿が、月の光に照らされる。
その目は少し笑っていた。