この子13~第九章:闇を喰らう01 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法



――同時刻・猫鍋邸


「玉藻!
 玉藻はおらぬか!」


そう言って体を脂肪で包まれた醜い姿の中年の男がメイドの名前を呼ぶ。
男の名前は、猫鍋 道長。
猫鍋研究所の博士だ。
道長は、機嫌悪そうにもう一度玉藻の名前を呼んだ。
メイドは、素早く男の前に現れる。
メイドの名前は、多摩月 玉藻。
玉藻が、静かに口を開く。


「お待たせしました。
 ご用件は?」

「何故、すぐに来なかった?」

「申し訳ありません」

「ワシは謝罪の言葉を聞きたくて主を呼んだのではない。
 最近の亜金の様子の報告が来てないようだがどうなっておる?」

「亜金は、ただいま入院中との報告が……」

「入院?」


道長が、眉を歪める。


「刺されたそうです」

「意識はどうだ?あるのか?」

「意識もあり先ほど友人と親しげに会話を楽しんでいらっしゃいました」


玉藻からそれを聞いた道長が笑いだす。


「亜金に友人?
 ありえないだろう?
 一般人は、亜金を毛嫌いする。
 そういう風に作ったからな……」

「それが……どうやらその友人と言うのが一般人ではなく呪いもちでして……」


玉藻が、そう言うと道長は笑いを止めた。


「ほう……
 呪い持ちなら亜金の呪いが通用しないこともあるかもな……」


道長が、顎に手を当てて考える。
そして、言葉を放つ。


「で、その友達とやらの名前は?
 13……」

「13……?
 殺し屋の13か?」

「はい。
 あと近藤 無、後藤 達也、プレゲトン、土方 十五の4名です。
 全て呪い持ちです」

「呪い持ちが集まって何を企んでおるのだ?」

「ベルゼブブとの交戦が、ありましたのでベルゼブブと戦う気かと……」

「ならん!
 亜金を回収しろ!
 アヤツが死ねばワシの不老不死の夢が絶えてしまう」

「わかりました……」


玉藻は、小さく頷くと道長の部屋を出た。


「まったく……
 娘じゃなければ処分している所だぞ」


道長は、そう言いながらワインを口に運ぶ。
そして、ベッドに横になっている女、玉藻の母親でもある瑞希の体に触れる。
瑞希は抵抗できない。
何故なら道長の全てを受け入れることを条件に玉藻を生かしてもらっているからだ……