万桜は、思った・・・。
【帰宅部】はクラブではないと・・・。
しかし、入りたいクラブ等なかった。
令がぼそりと呟いた。
『こんな田舎の高校だから、お前みたいな転校生は珍しい・・・。
同級生どころか学校中の奴等がお前の事を知っているぞ・・・
ほら、あそこを見てみろ・・・』
万桜は、令が指す場所を見てみると、そこには4人グループの
女の子らが、万桜の様子を伺うようにこっちを見てはヒソヒソと
話しており、万桜の能力で話の内容を伺ってみると、どうやら
「チアリーダ部」のメンバーに誘おうとしているような内容だった。
万桜は軽くため息をついた後、令の方にか顔を向けた。
『何処かのクラブに決めないと、あー言った連中の勧誘が鬱陶
しくなってくるぞ・・・』
『だからね、万桜さんも、【帰宅部】に入ろうよ!』
『しかし・・・帰宅部はクラブと言えないのでは??』
『ほら、だから言ったろ?【帰宅部】ってクラブ名はおかしいって・・・』
令がそう言うと、愛衣は暗い顔をして、俯いてしまった。
『コイツが言っている、【帰宅部】と言うのは、本人曰く物騒なこの町
の、パトロールとか、色んな場所の発見、山菜とりに天体観察等、
帰り道のふとしたモノを発見するクラブだそうだ。』
『へぇ・・・少し、面白そう・・・』
万桜がそう言うと、愛衣の沈んだ顔は、見る見る笑顔に変っていき
最後にはニコニコ顔になっていた。
万桜は、鳴いたカラスが、今笑う。まさにそれにピッタリだとそう実感した。
『よし!あと一人!』
愛衣が言った、その言葉に万桜が首を傾けていると、令がこう言った。
『この学校の校則では、部員は4人居ないとクラブとして認められないのだ・・・』