万桜は、内心楽しくて仕方が無かった。
なぜなら、今まで学校生活や部活等はなかったからだ・・・
万桜も一応、魔界の学校を大学まで卒業したものの、一族の中
では下の下だった為、娯楽なんてモノを楽しむ時間なんてなかった。
『なら、明日、知り合いの弟さんが、この学校に転入してくるらしいから
声を掛けておこうか??』
だから、万桜は、思わずそう言ってしまっていた。
『本当??』
それを聞いた愛衣は、喜ぶ。
愛衣の喜ぶ姿を見て零は安堵のため息をする。
もしかしたら、万桜は人間のそんな生活に憧れを抱いていたのかも知れない・・・。
しかし、夜が来た。
何処の世界でも、夜は来る。
殺風景の万桜の部屋に携帯が鳴る。
着信は万桜の兄からだった。
電話は一瞬、それだけを言って電話は切れた。
『今から○×に迎え、奴等が現れた。
座標はメールで送る。』
淡々とした口調。
万桜は忘れてはならない・・・
自分が何故、こっちの世界に来たのかを・・・。
自分が何故、こっちの世界に来るのか選ばれた事を・・・。