まおうのえにっき:八話 | ニート脱出大作戦β

ニート脱出大作戦β

~ニートから抜け出す108の方法

静かな風が流れる。

夜の街、人気の少ない場所。

そこに奴は居た。


男の名前は、【竹内 素史】。

忘れ去られた神、【元無極躰主大御神(もとふみくらいぬしのおおみかみ)】。

その末裔。

素史は、神の座を狙っている。

かつては森羅万象を司る大神であった。

しかし、今、元無極躰主大御神を信仰するモノは数少ない。

その為、現在は力の殆どを失っていた。

素史には、選択肢が二つあった。


一つは、自然の摂理において、静かに消える事。

もう一つは、他者の魂を喰らい、生き延びる。


素史は後者を選んだ。


素史は若い娘を、暗闇に追い込むと、抵抗する娘を振りほどき、

静かに口付けをした。

若い娘の肌は静かに水分を失い、そして服のみが残った。


『こんな小娘の魂では、そんなに持たないな・・・』


こうして、素史に魂を吸われたモノは、魂を吸われたモノの関係者

及び記録は全て消え、【最初から存在しなかった事】にする事が出来た。

今までに、素史はこうやって魂を喰らってきた。

だから、事件になった事等なかった。


素史は静かに眼を閉じ、精神を集中させると、ニヤリと笑い。


『息の良い、魂見つけた。』


と呟いた。