彼女は俺に一切れのアップルパイを渡すと、 残りの一切れのアップルパイを頬張った。 『アップルパイ美味しいですよ。』 彼女は微笑みながら言うので、とりあえず 一口、口の中に入れてみた。 リンゴの果汁を失うことなく、 アップルパイ特有のベタっとした感覚もなく、 さくっと香ばしく、パイでありながら 口の中が潤った。 気づけば、一切れ15c㎡のアップルパイは 手の中から消えていた。 『美味しい・・・』 そう、美味とはこういう事なのだと俺は実感した。 千春は、満足そうな顔で、 『早起きして、作った会がありました。』 と言い、残りのアップルパイを頬張った。 |