令和5年度行政書士試験を振り返り、
「基礎知識問題は現場思考を磨くことが最も有効なのでは?」
という考えに至りました。
改めて当時を振り返り、肢の切り方を再現しながら検証しています。
※正確な知識に基づいたものではなく、
あくまでもその当時の現場思考で解いたものであるので、
浅学非才の徒の戯言であることをご容赦願います。
問50 日本の法人課税に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。
ア.法人税は法人の所得に対して課税する所得課税であり、企業の所得水準に応じて税率が決まる累進税率が採用されている。
イ.子育てを社会全体で支える観点から、法人税の税率が引き上げられ、その財源を次世代育成支援に充当することとなった。
ウ.地方自治体が課税する法人事業税には、法人の所得や収入に応じる課税だけではなく、法人の資本や付加価値に応じて課税される外形標準課税も導入されている。
エ.OECD(経済協力開発機構)では、多国籍企業がその課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行っている問題(BEPS:税源浸食と利益移転)に対処するため、BEPSプロジェクトを立ち上げて、日本もこれに参加している。
オ.地方自治体による法人事業税や法人住民税は、地域間での偏在性が大きいが、その一部を国税化する改革が実施されたことはない。
- ア・ウ
- ア・オ
- イ・エ
- イ・オ
- ウ・エ
解法(当時のまま再現しているので順不同です)
オ:「一部を国税化する改革が実施されたことはない。」
「ない」
という断定が引っかかります。
国税は一円でも多く欲しいだろうから(注:実際は再分配して地方間格差を是正しているそうです)、
一度や二度くらいの例外はありそうなもの。
またこの問を知識で
「そんな改革は実施されたことはない!」
と即答できる人がどれほどいるものか・・・。
基本的なセオリーとして断定は切ってよい肢と判断し✖
真っ先にオを消したことにより、肢は1・3・5に絞られました。
ウ:まったく知らない問ですが、要するに
「税金はあの手この手で柔軟に徴収しますよ
」

という虫唾が走るような話であり、国にとってはまったく損にならない話です。
誤答にする理由に乏しいということで〇に近い△で保留。
エ:これもウと少し似ています。
「国は税金逃れ対策にこんなこともしているんですよ~
」

という紹介ですね。
社会福祉士試験の時に、
「国は自分たちの行っているポジティブな政策を試験問題に出したがるものです。
なのでそういった肢が出たら正解の確率が高いです」
というテクニックを読んだことを思い出します。
国にとって税金逃れは獅子身中の虫ですから、こういったことは当然やるでしょう。
よってこれも〇に近い△で保留。
ア:もう10年以上前から国は法人税を上げるべきという根強い意見があります。
法人税が累進課税ならそんな声ももう少しトーンが下がっているだろうに、と推論して✖。
イ:一読すると良いことしか書いていないので、
願望込みでつい〇にしたくなるような肢でした。
でも現実を顧みれば、こんな優しい世界になっていないのは明白であるし、
さらに言えばこんな素敵な法案が可決された記憶がないわけです。
従ってとりあえず△で保留。
肢はイ・ウ・エに絞られました。
イの優しい世界に引き留められそうになりますが、
純粋に正答の強度で言えばウ・エには一歩二歩譲ります。
よって5を選択→結果:正解
いま冷静に考えると、
イはバッサリ切ってよい肢のような気がするのですが、
試験当時はすごく引っ張られて迷った記憶が蘇ります。
試験終盤で終了が迫ってくる焦りや、疲労で判断が鈍っていたのだと思います。
運よく正解できましたが、やはり本試験には魔物が住んでいるのでしょう。