百合子さんはその様子をじっと見ていたが

 

「ごめんなさいよ

あの子はね、長い間、愛人をしていただろ

それがね、一週間前に

その人に『一緒に暮らさないか』って

言われたのよ

迷いもせずに、一緒に暮らしたいって

ここを出て行っちゃった

まぁ、無理もないよね

50年近く、ずっと一人でいたんだもの

でもさぁ、親としてはびっくりだよ

もう、穂香は70だよ

その年なっても、彼と暮らしたかったんだね

相手だって、確か五つ上くらいだから

お爺さんとお婆さんなのにね」

 

そう言ってキャラキャラ笑った

 

「私の面倒を見るように書いてあるんじゃない?

そんなバカげたこと

血も繋がってないのに

いいんだよ、放っておいて

長い間、願ってたことがやっと叶って

ちょっと、馬鹿になってるんだよ」

 

省吾さんはそういう事かと驚きましたが

小百合さんを最後まで看取るって言うのは

やはり考えてしまいます