「そいつは捕まったの?」

 

筧さんは眉をしかめながら

 

「逃げる途中で車にひかれて死んだ」

 

「え・・・」

 

「いいの、そんな顔しないで

起きた通りに話してるだけだから

被疑者死亡で事件は終わり

まったく、うんざりしたわ

でも、世の中うんざりすることは

バカほどあるし

ひどい目にはバカほどあったから

忘れることにした」

 

「それは、良かった」

 

本当に良かったのかどうか

昇君は、何をどう言っていいのかわからずに

そんな言葉が出た

 

「それがね、良くなかったの

三か月後には妊娠してることが分かった」

 

昇君もひどい人生だったし

愛子の事件だって、悲しいだけじゃなかった

筧さんを見つめながら

そんな不幸が重なるなんて、悲しすぎる