「なんか、いろいろ大変だったんだって?!

そういえば、前はバンドマンなんでしょう

全然見えないねぇ

彼女のことはまだ、吹っ切れてないの?」

 

昇君の彼女は中学の同級生だった

弁護士の女の夫に殺されたのだ

真相はその女が一番、悪い奴だったのだ

でも、彼女は捕まることもなく

夫と二人で共同経営していた弁護士事務所を

今はかなり大きくしている

筧さんはその辺の話を聞いている

 

「悔しくないの?」

 

「あ、その話だけ聞くとそう思うかもですが

その、弁護士の先生は

クズでダメな父親からものすごい虐待を受けていて

もしかしたら、その父親を殺していたんです

で、俺の恋人はそのことを知って

脅したって言うか

まぁ、なんか不幸の連鎖みたいな感じで

誰を恨むとかそういうのはなくて・・・」

 

「そうなの

なんか世の中、いろいろあるよね」

 

「はい。

あ、あの、いつも店の後ろの方で

お年寄りの男の人に会ってるでしょ?」