昇君は愛子さんの実家まで

典文君と旅をして

典文君がどんなに賢いかよく知っています

今、母親の話を聞いても

 

「親ガチャ、成功って方だね

店長はああ見えて、賢いし

そのお母さんだって、どんなときにも

優しくて、いい人じゃないか

頭のいい父親と優しい純粋な母親

もしかして、完璧かもなぁ」

 

昇君にそう言われて

 

「でしょ!

僕もそう思うよ省吾さんの家も

親ガチャ成功のほうだと思うけど

それって、親が弁護士とかお金持ちとかじゃなくて

親といて、幸せかどうかってことだと思うよ」

 

山吉さんはハッとしました

 

「そうね、私も下町に生まれて

母親しかいなくて、貧乏で

大学には行けなかったけど

親と過ごした日々は幸せで、楽しかった

ねぇ昇君、ちゃんと考えてみて

あんたんちはラーメン屋でしょ

だからと言って虐待されたなんてないでしょ

あんたと一緒に働いてると

仕事は遅いけれど

私に文句言うこともないし

一生懸命だし

ぼそぼそとしか喋らないけど

愛子さんがあんたが好きだった理由がよくわかるよ」