「ああ、それも省吾君のおかげなの

忠秀は頭がいいわ

でも、秋子といるときは

お母さんが頑張れって言うからって理由で勉強してて

秋子が亡くなってからは

私が引き取って、すごく良くしてくれるからって理由で

勉強してたんだって

基本、何で勉強するのかって

悩んでいたのよ

そしたら、省吾君がね

 

『僕も父親から言われてきたことなんだけど

勉強して相手より上にならなきゃ

相手の本当の姿は見えないってこと

例えば幼稚園の子供がどんなに賢くても

たくさん勉強した小学生のことはわからないでしょ

どうして掛け算すれば、はやくみんなの持ってる

おやつの数がわかるのかとか

これを人間すべてに置き換えると

たくさん勉強したから澄香さんの良さに気が付いたし

勉強して心をきれいにしていれば

色んな人の良さがわかるんだよ

知識がなければその『良さ』は

なかなか見つけられない場合が多いんだ』

 

そういう話をしてくれたの

それからは頑張ってたくさんの知識を身に着けようって

最近はいつだって、一番よ!」

 

山吉さんはその話を聞いて感心して

昇君に話しました

昇君はその勉強する意味よりも

省吾の

『お父さんに教わった』ってことになんだか

うんざりしてしまいました